第5話 新生せし戦乙女

 現実時間として十数分、昇の体感時間は数時間過ぎていた。


『あ、しまっ!』


ここまでは如何にか耐えていた昇にもとうとう限界が訪れる。そもそも覚醒したてに初実戦というのが無茶なのだ体力、集中力も長くは続かないそうすれば攻撃や防御も甘くなる事実距離を取ろうとしていた敵を仕留めようしたところでカウンターを貰ってしまった。

そして逃がした敵が逃亡ではなくただ単純に距離を取ることを選んだということは


「今だ、近接型は足止めしつつ遠距離型全員の掃射で仕留めろ!」

「グゥゥゥ!!」

『まずいな、身体もまだ攻撃すること以外いう事効かんしいやそもそも十全に動かせたとしてもあの弾幕避け切れるか!?』


とうとう相手が自分への対象法を確立されてしまったことを意味する。それが分かっていたから昇は積極的に距離を取る相手に攻撃を加えていたのだから。

口では野獣の様にうなり声を上げつつ内心では焦りを隠せない。


『躱しきれない、だが逃亡は暴走している身体が許さない・・・ここは防御で凌ぐしかない!』


決断は早かった弾幕が到達すよりも先に左手に力を込め前に突き出すそして彼の前面に特殊な力場が形成されるあらゆる攻撃に作用しその力を雲散霧消させる。

が、どれ程強力な防御にも限度はある。


「ぐぅぅぅ!!!!」

『糞がテレーズは後ろの女性が守ってくれるだろうから大丈夫だろうが、俺がやばいなオイ!曲がりなりにも助けに来といて一番ピンチとは格好つかないな』

『この力場の崩壊も近い、これは本格的に辞世の句でも考えるか?喋れないけど!!』


ほんの少し自らの生を諦めたまさかにその時


「あら、貴方ってそんなに諦めるのが早かったかしら?」


凛とした声と共に閃光が昇の真横を駆け抜けた。


『な!?』


その閃光、いや雷は目の前の敵のすべてに突き刺さっていた。


『これは!だが誰だ?後ろの二人ではなさそうだが』


静かに振り返るとそこには全身にスカイブルーの鎧を纏い、クリスタルの様な盾、雷の槍を装備していた俗にいう女騎士、バルキリーといった様相の女性だった。


「『へ?』」

「何その無様な顔は?忘れたのかしら長い付き合いなのにね」

「私よオートマトンよ、長年散々乗り回してくれたじゃないの」


彼女は呆れながらも少し面白そうにそう発言する


『あーなるほど確かにそれは長い付き合いだし、よく見れば鎧も見たことあるデザインだなコレ・・・・・・』



「『はぁぁぁぁぁぁああああ!?!?!?!?!?』」


初めて本能と理性が完全に一致した瞬間だった、因みにこの時暴走も解けた。



それからすぐテレーズが呼んでいたらしい応援部隊が駆け付け事態は収拾される。

が、当然色々暴れた二人の新たなオーヴァードは連行されることになる。

連行中昇はこれから歩むであろう非日常に頭を悩ますことになる。

とはいえ生き返ったことよりも自分のバイクが擬人化して話しかけて来たことの方がはるかに衝撃だったわけである。・・・余談だが彼はこのあと友人が飼っていたフクロウも人間の言語を喋ることに再度驚く破目になったりする。

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ダブルクロス3rd バイクと共にオーヴァード ハルカゼ @Haruhisa1235

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