見習い魔女、始めました!(仮)
工藤 流優空
序章
「今日から、この四年一組の生徒は全員、見習い魔女として、魔法に関する授業を受けてもらう。魔女直々の授業を受けられること、光栄に思うがいい」
新学期。窓の外で花びらが空中でダンスを踊っている。それをぼーっと眺めていた私は、クラスのみんなのざわめきの中で、そんな言葉を聞いた。
あわてて顔を教卓の方へと向ける。今の言葉は空耳だろうか。
魔法と魔女。その二つの言葉は、今の私が一番聞きたい言葉。その言葉が聞きたすぎて私は、別の言葉を聞き間違えたのかな。
言葉を発したのはどうやら、今日新しく学校へやってきたばかりの松里京子先生のようだった。先生は自信たっぷりの表情で(これをドヤ顔って言うんだっけ)、みんなを見回す。
「せんせー、魔女って、男でもなれるんですかぁー?」
一人の男子生徒の言葉に、男子グループを中心に笑いが広がる。しかし松里先生は全く顔色を変えないで冷たく言った。
「なりたくないなら、このクラスから追放する。明日から君は二組の生徒だ。せっかくのチャンスを無駄にするなんて、キミの目は節穴なんだろうな」
先生の低い声に、男の子は黙る。私は呆然と、松里先生の整った顔を見上げた。すると、先生は、もう一度私たちに向けて言ったんだ。
「わたしのクラスに選ばれた人間は、魔女になる試験を受ける権利を与えよう。素質があると判断した生徒は、正式にわたしの弟子として迎え、一人前の魔女に仕込んでやる」
クラスがざわつく。そんな中で私は、机の中にしまっている、一冊の本をぎゅっと片手で握りしめた。心なしか、本が熱くなっているような気がした。もしかしたらこれで、おばあちゃんと同じように魔女になれるかもしれない。そう思うと、いてもたってもいられなかった。
見習い魔女、始めました!(仮) 工藤 流優空 @ruku_sousaku
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