小三の女の子、桃香ちゃんが、なぜか桃太郎の世界に転生。導いてくれるのは、地の文。地の文?そう、地の文!
地の文さんは、桃太郎のお話を知らない桃香ちゃんに質問されたり鋭くツッコまれたりするのに答えたり答えなかったりしつつ、クライマックスである鬼ヶ島での鬼退治へと向かわせます。
地の文さんもなかなかの地の文さんなので桃香ちゃんの要望にいくらかは対応できるのです。どんな犬、猿、雉を用意したかは作品を読んで確認してください。いろいろすごい仲間です。絵面が強い……
鬼とは何か、なぜ桃香ちゃんは鬼退治に向かわなければいけなかったのか。桃太郎のお話とはまた違った「桃香ちゃんの結末」が書かれています。
頑張る桃香ちゃん、かわいい。
日本一有名な物語といっても過言ではない昔話、「桃太郎」。
桃から生まれてくるというその異様にもほどがある出生だが、江戸時代の頃は桃を食べたおじいさんおばあさんの若返りハッスルが主流であったらしい。そこがブレるということは、この物語においてその生まれ方は大して重要ではないということだ。なら桃太郎で大事なのは何か。
それはきっと「桃太郎」という人物が、鬼退治をして財宝を奪い返すことなのではないだろうか。
鬼は人間の敵だ。けれどそれは角が生えてるからとか、虎の毛皮の腰巻をしているからではない。記号化された恐怖や邪悪としての存在――それこそが鬼の、人類の敵たりえる本質だと思っている。
前置きが長くなった。今回は桃香という少女が桃太郎に転生し、ストーリーを知る地の文に導かれ鬼退治をすることとなる。地の文のサポートもあり、その道程は楽の勝。しかし最後、待ち構えていた鬼は……。
鬼は怖い。「鬼軍曹」とか「鬼畜」とかそういう言葉があるぐらいには怖いものだ。だからこそ、それを倒してくれる勇気あるものとしての「桃太郎」が永く語られるわけである。勇気があるからこそ、桃太郎は「桃太郎」なのだ。
鬼を倒すには、勇気がいる。
怖いものに立ち向かうには、勇気がいる。
これは勇気をもって鬼に立ち向かった、一人の「桃太郎」の物語だ。