描写の瑞々しさに舌を巻いた。こういった才能にはなかなか会えるものではない。
時と風景への愛おしさ、そして人への慕わしさを軸に、主人公の(或いは作家自身の)心象が「美しい風の音」のように描かれています。 情景描写、特に冒頭の(風の音で目覚めた主人公が風景の色に恐怖を感じるまでの)「風の音を待つ」くだりは天下一品です。 八年の時を超えてこだまする 娘の「氷細工のような脆さを思わせる美しい」声が胸をやさしく圧するように響きます。 お酒好きの方は要注意です。郷土料理のお店に足を向けたくなるかもしれません。
前半の自然描写がとても良いです。あとは隣で寝ていた女の正体と、娘のその後をもっと書き込むと良くなると思います。次作への期待を込めて★★でお願いします。