美術その二 「答える」

 王位を継いだ若き者、神に対して敬虔なる者、偉大なる太陽神アメンの如き王、神の子孫、太陽が勝利を与えし者、太陽の息子、ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――が、絵師ペリエンに答えて曰く、


「うむ、それでよい。朕の椅子の背凭れにもあるが、アトンは形が嫌だし、なんか怖い」

 *訳注 アテン神は、『円盤から、その先端がてのひら状になっている太陽光線が放たれている』姿である。


 ああ、我が王の太陽神アメンより与えられた英知を称えるべし。 

 畏れ多きみことのりは、硬い石碑に聖なる文字にて刻まれ、第一と第二と第三の神殿の、永遠に生きる王の側に安置されるであろう。


( 終わり )

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家庭教師と少年王 阿井上夫 @Aiueo

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