美術その二 「問う」

 王位を継いだ若き者、神に対して敬虔なる者、偉大なる太陽神アメンの如き王、神の子孫、太陽が勝利を与えし者、太陽の息子、ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――の治世第四年。

 この年、ペリトの息子ペリエンはアレキサンドロスの絵師であった。


 エジプト暦にして、ベレトの第二月第一日。

 ペリエンがツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――に問う。

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。ここに私が問うことをお許し頂き、その慈悲深きお言葉を賜りたく存じます」

「如何なることか。汝が問うを許す」

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。


 先王アクエンアテン――安らかに眠りたもう、アテンに愛されし者――におかれましては、太陽神アテンを敬い給いしが、

 アメン神を讃える神官の力には抗しがたく、

 御身を称えたもう神殿の壁面には、太陽神アメンの御姿を刻むことと致したく、


 何卒お許し頂きたく畏み申し上げ奉ります」


( 続く )

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