愛してるだとかサヨナラだとか

第1話 誰か

明日が愛しいなら、

今日は悲しくないかもしれない。

今日と明日の境目さえ分からない午前0時に

通り過ぎた人を思い出しては、

誰を想えば良いのかさえ分からない。

思い出の色が混ざり合い、

どこまでが誰なのか、

記憶の中の最後の顔が、

今宵の雨のように滲んでる。

僕は誰かの名前を大声で叫びたかった。

でも応えてくれる〝誰か〟が僕には見当がつかなかった。

僕は思い切り一人だった。