先生の話はいつだって長い
目を覚ますと体育館のような場所にいた。
辺りを見渡すと、ざっとみて、一万人ほどの受験生が周りにいた。
それをみた僕は怖気付いてしまった。
一体この中から何人が合格できるのやら。
僕が弱気になっていると、背後から声をかけられた。「柊くん、またあったね!顔色悪いけど大丈夫?」
そこには、先ほど僕が落とした受験票を拾ってくれた橘かえでに声をかけられた。
「ああ、大丈夫だよ。少しに弱気になってただけだ。」と返事した。
橘かえでは先ほどと髪型や服装も全く同じだった。だってここはVRの中だぞ?どうやって再現したんだ?
そんな疑問が浮かんできた。まさかとおもって、自分の服装などを確認してみると実際のものと変わらなかった。
いま疑問に思ったことを橘と話していると、体育館の舞台の上に20代後半のくらいの女性がやってきた。
その女性がマイクを持ち話し始めた。「おはようございます。受験生のみなさん、うちの大学を受験してくださり、ありがとうございます。私はこの大学の学長の林秋奈です。」
見た目はとても若く、ザ美人系といったところだろう。話し方はとてもハキハキとしていて、聞き取りやすい。
「早速試験の内容について、話したいところですが、みなさんが気になっているであろうフルダイブ型VRについてお話ししましょう。
少し前置きを挟みますが、世間では大学生活は人生の夏休みなんてことを言われてると思います。
実際問題大学生は遊び呆けているのが大半なのが現実です。
そんな遊び呆けていた人間が社会にでて働くとどうなるでしょう。
社会の厳しさに耐えきれず、すぐやめてしまうのです。
現に新入社員の離職率が年々増加しています。
環境の変化などのストレスが原因だったり、将来期待が持てないなど理由は様々です。
そんなことを解消すべく作られたのが、この高度先端大学なのです。
この大学では一学部一学科制で各クラスごとにランクづけされており、卒業時に上位のクラスにいれば、好きな就職先にいけるというメリットがあります。
そう日々切磋琢磨しあい、高め合うことで実力を伸ばし、自分の興味のある就職先にいくことが重要なのです。
実力のある人間を世に出し、さらに離職率を下げようと国は考えたのです。
1万人もの人間をVRにブルダイブできたのも、国からの多額の援助がらあってできたのです。
そして、なぜブルダイブしたアバターが現実の自分と瓜二つなのだろう?とみなさん疑問に思っていると思います。
その理由はカプセルに入ったとき、機械が体全身を自動スキャインし、身長、体重、体のパーツを精密に調べたのです。
なので、VRの中でも自分の本当の体に違和感なく存在できているのです。」
ここでやっと、説明に区切りがついた。
はぁ、全然話少しじゃないじゃん。これから試験の説明もあるのか。。
それを見透かしたように試験監督は言った。
「みなさん、お話ばかりで飽きてきたと思うので、そろそろ本題に入りましょう。
細かいことはいいません、第一次試験は生きて、目的の場所にたどり着くこと。以上ー」「ではご検討を祈ります」その言葉とともに、体育館一面の床が抜け落ちた。そして、約1万人が暗闇のなかに消えて行ったのだった。
僕の普通の日常が終わった まつぼっくり @matsudesu
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