制服【なずみのホラー便 第68弾】

なずみ智子

制服

 自慢じゃないが、俺の娘は成績優秀だ。

 高校受験もそろそろ考える時期になったのだが、なんと娘は自身の学力よりも数ランクを落としたB高校に行きたいと言い出した。


「お前の頭なら、このあたりじゃナンバー1のS高校だって受かるだろ? どうしてB高校なんだ?」


「……制服が可愛いから」


「それだけが理由か? そりゃあ……年頃のお前の気持ちも分からなくはないが、お前はパパに似ず頭の良い子だ。もっと長い目で自分の将来のことを考えろ。たかが制服ごときで進路を決めるなんて、パパはどうかと思うぞ」


「……あのね、パパ。”たかが制服、されど制服”ってことぐらい理解してよ。私はS高校の制服を着るなんて嫌! 絶対に嫌なの!」


「でも、S高校の制服は、自分で好きな色が選べるんだぞ。それに、他の高校に比べたら露出度だってダントツに低いし。お前、よく『足が太いから出したくない』って言ってたじゃないか」


「……いくら露出度がダントツに低くても、体のラインが丸分かりだったら同じことでしょ! 何より”全身タイツの制服”なんてあり得ないわよ!! 全24色の中から好きな色が選べるとか、そういう問題じゃないのよ!!!」



――fin――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

制服【なずみのホラー便 第68弾】 なずみ智子 @nazumi_tomoko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ