あいが欲しくて

バナナナチ

あいが欲しくて

生あたたかいのが指先から落ちる

冷たいのが手首を絞める

寒い

暗い


私は父を知らない

この家にあの人とふたりだけ

学校行きたくないな

朝ごはんを食べたくてリビングに来たけど

朝ごはんは?

……。

今日も無いみたい

だけど、今日のテスト頑張ればあの人も認めてくれるはず

学校につくと 机はゴミだらけ

とても臭い

ここの人たちは私が見えてない

でも、テストさえ頑張れば


ねぇ、ねぇ、これ、テストだよ、全部、学年1位だって、

私はほんとに頑張れた

これであの人に認めてもらえる、褒めてもらえる


パァン!リビングに大きな音が広がった

お皿が5つに割れた。

なんで満点じゃないの!

怒鳴られて私は混乱した

その後は何を言っていたか、ださく?くず?とかだったかな


気づいたら私の部屋の隅に座らされていた

顔、いたい

頭、いたい

私の手は壁に繋げられて、動けない

どこをけがしてて、腫れてるかはわからない

この前と同じ

なんで、

なんで、

私は悪いこ?


寒い

暗い

もう、寝ようと思う


次の朝、あの人は

私にご飯を食べさせた

また、冷たい


私、ずっと悪いことしてたのかな、

ずっと迷惑かけてたのかな、

もう、いやだ…


いたいのは…

いたいのはもう…


私は食器をシンクに出して直ぐに隣に置いてあった包丁に即座に手を伸ばした。


刃は白い肌に吸い込まれ一筋の声もなく赤い血が周りに散った。


私は、疑問に思った。これがあの人?

こんな、呆気ないのね。

私は窓を開けて薄青い空を見上げ 深く 勢いよく空気を吸った。


雨は

いつ降るかな

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あいが欲しくて バナナナチ @banananachitesukapore

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