第8話
「ふぁぁ。……眠い」
「珍しいね、楓さんが寝不足なんて」
今日も僕は教室で楓さんと駄弁っている。
「何で寝不足なの?」
「……本読んでたから」
「へぇー。楓さんってどういう本を読むの?」
「……色々読む」
今日は寝不足だからなのか口数は少なめだ。
もしかしたら今日は話しかけないほうが良いのかもしれない。
「楓さん、まだ昼休み終わらないから寝ても
いいよ。時間になったら起こすから」
「……わかった」
楓さんは机に伏せて眠っている。
すぐに可愛い寝息が聞こえてきたので、相当眠気がきていたらしい。僕も静かに過ごすことにしよう。
と、ネットで小説を読もうとすると不意に僕たちの方に視線が集まっていることに気付く。
「うわぁ、音無さん寝てる。ちっちゃくて
かわいい」
「うん、天使だなぁ」
「……一枚くらい撮ってもばれないかなぁ」
「ばれないでしょ」
耳を澄まして聞いてみると、不埒な考えが過っているのが分かる。
どうしよう、楓さんを起こすのも申し訳ないし、出来れば寝させてあげたい。
いや、楓さんを知らない奴に撮られるのは嫌だ!
僕は直ぐに行動に出ることにする。
「楓さん、体少し起こして」
「……ん?」
楓さんは言った通りに体を起こす。
「楓さん、僕の背中に乗れる?」
「……え?」
楓さんは戸惑いながらも乗ってくれた。
楓さんをおぶって直ぐに歩きだす。後ろから
不満げな声が聞こえるが無視無視。
非力な僕でもすっと持てるくらい楓さんは軽かった。それに柔らかさと匂いで頭がくらくらしてくるが、空き教室を目指す。
後ろの楓さんの寝息が少し乱れている気がしたけど気のせいだろう。
____________________________________________
楓さんを椅子に座らせて僕も椅子に座る。
だけど、さっきの事もあり直ぐに寝付けない様子だ。
「楓さん大丈夫?寝れる」
「……少し眠気飛んだかも」
この後の授業に支障を出すのも駄目だし、元々僕のせいでもあるしどうしたものか。
あ、良いこと思い付いた
「楓さん……膝枕する?」
「する」
「はやっ!」
いつもはしゃべるまで少し間があるのに直ぐに返答してきた。相当眠いんだな。
僕は楓さんの隣に椅子を置き、声を掛けると直ぐに太ももに倒れてきた。
おおぅ、これは破壊力抜群だ。こんなに顔を近くで見ることが無いから、ドキドキする。
よくよく考えれば僕みたいな普通の人が楓さんみたいな美少女と関わっている事が凄いよなぁ。この時間を大切にしよう。
そんなことを考えていると、もう楓さんは眠っていた。と、ここで少し欲が出てしまった。
しゃ、写真撮っても良いだろうか!
めちゃくちゃ可愛い寝顔を写真に収めたい!
けどそうするとさっきの人達と同じ事をしてしまう。
だけど前楓さんも僕の写真撮ってたし…。
結局僕は一枚写真を撮ることにした。
____________________________________________
「ふぁぁ」
時間になってきたので楓さんを起こす。
写真を撮った時は寝ていたし、大丈夫だろう。そう考え教室に戻ろうとすると、
「……ねえ零人」
「ん?」
「……二枚も撮ってたね」
「?!」
満面の笑みで楓さんが言う。
ば、バレていた、だと!
「ご、ごめん!寝ている楓さん天使みたいでか
わいかったからつい!」
「……まあいいよ。私も前撮ったし」
ゆ、許してくれてよかったと思ったのも束の間。
「その代わり」
嫌な予感がする。
「……私の言うこと聞いてくれたらいいよ」
この後学校終わりに空き教室で、膝枕プラスハグを要求されたことをここに追加しておく。
____________________________________________
久しぶりに更新できました。
あまり甘く出来ませんでしたけど、次は必ず!
隣の無口な美少女が離してくれない! @1ya12ma2to
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。隣の無口な美少女が離してくれない!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます