第10話 元の体へ
柿本勇人 16歳
男 LV10
高校生
趣味 ギター
健康状態 優
半ば元の体に戻ることを諦めながら空間に漂っていたら、無性に今まで読んでいた漫画や小説の続きを読みたくなった。
「くそー、続きが読みたい」
強く思えば思うほど何か元居た場所に引き寄せられる気がする。
「ああああ、読みたい、読みたい。続きが知りたいよ」
スーと体が消えて行くような感覚を覚える。
「やっと、気付いたか」
「神様じゃないですか、気付くとは何の事ですか?」
「帰りたいと強く思う事じゃよ」
「ええっ、そんな事で元に戻れるなんて事、言わないですよね」
「強い思いがお主を元の体に戻すのじゃ。儂の力では無いぞ」
「それなら先に言ってくれれば良いのに」
「人生とは、そんな生易しいものでは無いのじゃ。自分で切り開くものなのじゃ」
「そこで、人生についての説教ですか」
「ふふふ、神なのだから説教の一つや二つしても良いじゃろ」
「じゃあ、強く戻りたいと思います」
帰りたいと思えば思うほど、体が徐々に消えて行く。
ああ、やっと戻れると考えていると意識が無くなった。
「うぉ、何処だここ」
見慣れた天井が見える。
俺の部屋じゃないか、どうやら元の体に戻ったようだな。
何をするにしても本気にならないといけないのか。
知らない内にレベル10になってしまったけど、関係無いか。
思わぬ経験をしてしまったが、結局、死んだらあの何もない空間に戻るだけなのだろうなと考えてしまう。
まあ、やっと戻れたんだし、今しか出来ない事ややりたい事を楽しもう。
自分の生活を楽しくするのも、つまらなくするのも、結局は自分次第。
自分の考え方や行動で、何かが変わる。
そう信じようと決めた。
魂が抜けて漂流者になってしまった! 川村直樹 @hiromasaokubayashi
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