第4話
教会にて(朝)
ラウはパチリと目を覚ました。
自分は見知らぬ天井を見上げ、壁も、ベッドも、室内の飾りも
全て自分の部屋では無いのが分かった。
自分は本当に家出したんだな、と呑気にそう考えた。
ラウは顔を洗う為、部屋を出た。
…………当たり前だが、ここが何処なのか、彼女には分からない。
そう困りながら取り敢えず適当に歩き回ろうとした時何かが彼女に密着した。
……後ろから抱き着かれた?誰に?
「おはよう我の天使、いい目覚めで良かったよ……我は嬉しい」と、綺麗な女の人の声が聞こえた。
ラウは表情を変えず「……貴方は?」と聞いた。
綺麗な女の人の声は「我が気になる!?本当に!?やだもう天使がそういうのであれば答えちゃうんだから!!
我はファーティクス、神だ。」
と、自己紹介をしてくれた。
神様……?
ラウ「……ファー、ティクス、ね。わかった。僕はラウ……えと、顔を洗いたいけど、ファーティクスは、ここの人?」
ファーティクスと呼ばれた女は「最低限の道案内はしてあげる、我の事はファーティとでも呼んでくれたらいいぞ!」
とラウから離れた。
ラウは初めてファーティの姿を見、
「……神様って、個性的なのね」と呟いた。
ファーティ「神様が個性的なのは信仰してきた人間のタイプってのが関わってるからなあ……別に我こんな姿になりたくてなってる訳では無いぞ?」
理解したのか或いは興味がなかったのか
「…そうなんだ」とだけ言った。
ファーティはラウの手を引き
「我の事より、ここの案内だろ?」
と言い、そのまま教会内の案内を始めた。
_________教会にて(昼)
食堂、寝室、シャワールーム、御手洗場、大聖堂、倉庫…
後はアルトって人の部屋と、空き部屋と…
色々と教えてもらった。
僕はお辞儀をするとファーティは「気にするな、我は迷える子羊を助けた迄!んじゃあ我アルトを起こしに行くから天使はそうだな……自室で待機しててくれ」とそのまま私は空き部屋の前に置かれた。
僕は隣の空き部屋の扉をじっと見た。
扉には古い張り紙が貼られており”関係_以_立______ずる”
と、僕の分からない文字らしきものが書かれていた。
そっと扉に触れる。
…………ただの木材で作られた重い扉の様だ。
そしてドアノブらしき所に手を伸ばし、開ける……
直前に肩を誰かが叩いた。
”そこで何をしている?”と後ろの方で声が聞こえた。
ラウは後ろを振り向くと、昨日の青年が自分の肩を叩いたのだと言うのがわかった。
静かに「……何となく開けようとした」
とだけラウは呟き、アルトを見た。
アルトは呆れた様に「お前そこの文字が読めないのか?関係者以外立ち入るなと書かれている張り紙が」と紙を指さす
ラウ「……そう書かれてたんだ、ごめんなさい」
ラウはそのままドアノブから手を離し、ふと何かを思い出す。
ラウ「……ファーティが、アルトを起こしに行くって、部屋に行ったよ。会ってないの?」
アルト「アレに起こされるくらいなら自分で起きた方がマシだ。……話はいいだろう、食堂に行くぞ」
アルトはそのままラウの返事を待たず、すたすたと去っていった。
ラウは少し考え、シャワールームに向かった。
______
数十分、既に食堂に居たファーティとアルトはラウの帰りを待っていた。
「……遅い。あの人間は一体何してるんだ。」
ファーティは「我自室に行ったけどいなかったし、どこかに迷ってる雰囲気ではなさそうなんだ……顔洗いたいと言ってたし、まだ顔でも洗ってるんじゃないのか?」
「にしては長すぎる。いや、話してるだけ無駄だったな。探す」
ファーティ「あー我も行くから〜!」
「君は残っててくれよ、入れ違いは避けたいんだ。そこで普通に待ってろよ頼むから」
アルトは立ち上がり、食堂を後にした。
……あの女は一体どこかと思い探していると、水の音が聞こえてくる。
……シャワールームの方からか…
と俺は扉をノックせずそのまま開けるという我ながら馬鹿な行動をしたのを後悔した
ラウ「…………」
アルト「………………」
ラウ「………………あの」
アルト「わ、悪かった!!!俺が悪かった…!!!嫌あの、終わったら食堂の方に来い!!!!」
と扉を勢いよく閉め、そのまま急いで戻った。
……なぜ女の裸体で俺が恥ずかしくならなくてはならないんだ!!
_____シャワールームにて
……さっきのはなんだったんだろう、少しびっくりしたけど、僕が遅かったから心配になって来たとか……?
それならもう終わらないといけないや……
水を止め、服を着替えた後食堂という所に向かった。
……でもあの人、顔赤かったな、変な人
嫌われ者の日記 翡翠 @amanojyaku003
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