第3話

教会にて(夜)

_________


連れ帰ったはいいもののこいつは何処の奴なのか、何故彼処にいたのか、謎だけが残る。


今はもう使われていない部屋のベッドに置き、目が覚めるのを待った。

アルト「………面倒な奴だったら、殺せばいいんだ、それでいい。」

彼は人生で初めて時が経つのが遅い、と感じた。


_____「…いい加減起きろ」


アルトは起きない少女に段々とイライラし始め、少女の首に自身の手を近付ける。

そしてその首に触れた瞬間…


少女は目を覚ました。

少女は何も言わず、ただ視界の先に映るアルトを見ていた。


アルト「……お前、どうしてこの森に迷い込んだ」

きつい口調でアルトは少女に言う。


少女は無表情でこう答えた”僕は嫌われているから遠くに行きたかった”と

初めてアルトはこいつは何を言ってるんだと思い、呆れてその首から手を離した。

少女は不思議そうに「……僕を殺さないの」と、呟いた。


アルト「お前みたいなひ弱な女1人殺した所で、俺になんのメリットがある?」


「………知らない」


アルト「…知らないならその様な言葉俺の前でするなよ。ここは仮にも神の家だ。殺しという単語がそもそもNGなんだから、わかったな」


「…………さっき、なんで僕の首に手があったの……」


アルト「体温を計っていた。以上。分かったらとっとと寝ろ、あぁいや待て…お前の名前を教えてから寝ろ。名も分からないやつを傍に置いておきたくない」


少女はかなり喋る男を変な人だと思いながら、ポツリ”ラウ”と名乗った。


アルトは「わかった。ラウ、俺はアルトだ。一つだけ忠告するが、変な事…やましい事をした場合俺はお前を斬る。神の家でも斬る。それ以外だったらお前をここに置く。おやすみ」


少女の返事も待たず、アルトはそのまま部屋を後にし、扉はバタン…と閉じた。


ラウと呼ばれる少女は不思議そうに扉を見つめ


「…………あの人、どんな人なんだろう……?」

と…アルトに対する好奇心が芽生え始めた


________夜(城内にて)


いなくなったラウを、隅々までリウは探した。


しかし、彼女はいなかった。

リウは涙を堪えながら「なぁ…どこに行ったんだよラウ……!!」

そう、言うしか無かった。


俺が、ラウを見ていれば、ラウの苦しいがっていた気持ちを全部全部俺が変わってやれれば…

ラウは今でも、傍に……。

リウは首を横に振り「いやいや、今はそんなこと考えてる暇は無い……まずはラウを探さないと……!!」



______夜(城内,書斎にて)



「…別に、妹一人消えたとしても支障は出ない、が…リウの方が面倒になる…あの欠陥品の妹は一体どこに居るんでしょうかね……ここまでして、兵の者達が探しても見つからない等と言うのですから……あぁ本当に腹が立ちます……大人しくじっとしていればよかったのに……」

思い通りにならない出来損ないの話はもうやめましょう。

私はまず、やらなくては行けないことがあるんですから…

____ヒスイ、と呼ばれる青年は近くに飾られていた一つの”カゾクシャシン”と呼ばれる物を見ながら「…家族等、私にはどうでもいい。私の求める物は、この国を支配する権力……ただそれだけなんですから」


そう最後に呟き、誰にも見られる事無く微笑んだ。

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