第2話
数日前___城内にて(朝)
リウ「ヒスイ兄!!大変なんだ…!ラウがいねぇ……!!」
バタン、と扉を開くリウが慌てた様子で来た。
ヒスイ「……」
しかしヒスイは何も言わず、ただ書類を眺めていた。
リウ「なぁヒスイ兄!!ラウがいな…」
また同じことをリウは言おうとすると、ヒスイはリウを睨みつける。
ヒスイ「話はちゃんと聞いてるから落ち着きなさいリウ」
リウ「だって……」
ヒスイ「ラウが大事なのはわかりますが、そう慌てては本来の目的を見失います。
国の姫が消えたなんて事を国民に知られる訳には行かない。だからと言ってこのまま放置してはラウに何か問題があれば色々と面倒……えぇえぇ、まずは兵士を呼ばなくては」
ブツブツ言いながらヒスイはそのまま部屋を出た。
リウ「……もっと、自分がラウを見てれば……」
リウの不満そうな声は誰かに聞かれることなく、その部屋に静かに消えていった。
_________???にて(昨晩)
見回りを初めて5分が経過した。
相変わらず後ろの女は鼻歌を歌いながら梟ばかりを見てる。
アルト「君本当、僕を連れて歩くの好きだよな。」
そうアルトが言うと、女は立ち止まりアルトの方を見た。
『別にそんな事はないさ!なんたって我女の子だろ?だから夜に1人こんなとこうろついてたら男達に捕まってあんな事やこんな事を……』
アルト「よしわかった、黙れ。今すぐに黙っていてくれ。」
『あーん……酷い事言うなよ〜、我らの仲だろ?』
アルト「黙れと言ってるのが分からないのか?」
『はぁあ……そんな事より、そろそろ着くぞ』
そうこの女は少し歩いた後に立ち止まった。
『ほうら、見てみろアルト』
と女は俺の服を引っ張り、下を向かせた。
…よく夜の森に彷徨いてた狼に食われなかったな等と思った。
そこにはすやすやと無防備に寝ている少女がいた。
黒髪の、長い、王冠を、つけた、少女
アルト「……なぁ君。俺は言ったよな?人間がクソほど嫌いだと言ったよな?」
『お前も人間だろう。我神だからこういう迷える羊は放っておけんのだよ!つまり持ち帰る』
アルト「却下する」
『お前さん狼にこんな幼い女の子が食い殺されても良いと?』
アルト「俺には興味無いね」
『神が許しはしないぞ。』
アルト「勝手にしろ!!ちっ……」
『うむうむ!!では我は持ち帰るから!!運べ、我の教主』
アルト「誰もてめえなんざの教主をやってませんけど?結局ここに連れてかれたのは荷物持ちと……」
不機嫌そうにアルトは黒髪の少女を担ぐ。
担いだ時、彼は不思議に思った。
……何故この娘はこんなにも軽いのだ?と
『にしても痩せているな〜……ちゃんと飯は食ってるのかの〜?』
アルト「俺に聞くな」
『しかしアルト、お前がこの子の世話をするんだぞ。我世話とかした事ないし』
アルト「…………やっぱり面倒事は俺に押し付けるじゃねえかこの女。いいかよく聞けよ。もし俺がこいつを邪魔だと思ったら即座に殺す。絶対にだ。」
『物騒な事をいいよって……しかしまぁその辺は大丈夫だろ。なんたってお前さんはその娘を殺せはしないからな!』
自信満々げに女はそう言いながら教会のある方面に歩いていった。
アルトは深いため息を吐きながら、そのまま後ろを着いて行く。
謎の視線を感じた行きだったが、帰りも何事も無く教会に戻ることは出来た。
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