第4話 元アイドルAV女優との出会い⁉
シヴァレイン王国、王都『トリコット』。国が誇る一番の都である。
昼は道具屋、武器屋始めとした店が賑わい、夜は酒場で一晩中賑わう場所。
ここには国一番の冒険者ギルドもあり、多種多様な種族たちが集まっていた。
人間だけじゃなく獣人やエルフもいる。まさにファンタジーの世界!
「やっぱ都会は違うわー」
初めて渋谷に来た地方の学生のごとく、俺は王都の人の多さと賑わいに圧倒されていた。
なんで小さな町のしがないマッサージ師で、貧乏だった俺がこんな大都会に来れたのか。
それはエロ女騎士、リカちゃんのおかげである。
リカちゃんが店を去った後、謝礼金が入った袋を開けたら、まあ結構な大金が入っていたのだ。
そこで俺は考えた。
これ、王都に行ってもしばらく暮らせてしまうな?
リカちゃん、俺のテクに完落ちしたな??
そこから俺の思考は、王都に行ったらまたリカちゃんとエッチなマッサージができるかもしれない!
思い立ったらもうそれしか考えられなくなっていた。
そして俺は一念発起して王都にやってきたのである。
店を閉めて出ていくとき、常連のミヨさん始め、街のじじばば達にはめちゃくちゃ名残惜しまれた。たくさん世話になったから、たまには帰ってじじばば孝行しようとは思っている。
「さて、どっから手をつけたものか...」
王都に来たはいいものの、全くのノープランだった。
用意したのはリカちゃんマネーと性欲のみで、行けばなんとかなるだろうという甘い考えで飛び出したのだ。
俺は街のど真ん中にある噴水に腰掛けて何から始めるか考えていた。
「まずは宿かな。寝る場所を確保しつつリカちゃんを探すか? 仕事を探すにしても、王都で店を開くとなると、リカちゃんの謝礼だけじゃ足りないしなあ」
日も暮れてきて、だいぶ人も減ってきていた。
道具屋、雑貨店などは店じまいを始めている。
……宿で考えるか。そう思い立ち上がったところで、微かに女の子の悲鳴のような音が聞こえてきた。
声のした方、店が並ぶ通り。店と店の間の細い道。
そこにいたのはメイド服に猫耳としっぽがついている獣人の黒髪美少女で――
「みーな…!?」
――藤咲みーな。
超人気アイドルグループ『あいりっしゅ』の3番手であった彼女は、電撃卒業の半年後にAVデビューを果たした。
清純派で彼氏なんていたことないですっ!なアイドルがAVに出るなんてドスケベなニュース。全国の男たちが彼女のデビュー作を正座して見守ったことだろう。
かくいう俺も発売日には有給を取ってam●zonからの配達を全裸待機した。
そんな彼女の5作目「おしゃぶり女整体師みーな」は俺のマッサージ動画ベスト10に入るクオリティ。
ああ、もうあのAV見れないのかあ…!
コンマ数秒、走馬灯のようにそんな記憶が流れていると…
「やだっやめてください…!」
「いいのかあ? そんな口きいて、素直になったら優しく抱いてやろうと思ってるのによお」
「お願いします、やめて…!」
「おいおい、借金まみれで後がないってのにずいぶん抵抗するじゃねえか。娼館に売り飛ばしてやってもいいんだぜえ? ほら、脱げよ」
「そんなっ…!」
俺の目の前にいるみーなは明らかにガラの悪い大男に迫られていた。
会話から察するに借金のカタにエロいことをされそうになってる?
AVならこんなシチュエーションもアリよりのアリアリだが、これは現実で、断じて撮影ではないだろう。
みーなと目が合った。助けを求めるようにウルウルと俺を見ている。
ここで助けなかったら男じゃないだろ。
俺は立ち上がり、みーなと男に近づいた。
「おい、嫌がってるだろ。みーなを離せ」
「ああん? 何だテメエは」
「俺は……通りすがりのマッサージ師だ」
マッサージだけが特技な俺がなんでこんなに強気に悪漢に立ち向かえるのか。
実は俺には切り札があった。
リカちゃんとのマッサージの一件があってから、俺は見えるようになった”ツボ”について研究をした。
ステータスアップのツボが見える能力、これを仮に"見える化"としよう。
そこでわかったことがいくつかある。
① "見える化"で体に表示されるツボは、人によって違うこと。
街のじーさんばあさんに"見える化"を試したが、人によって手のツボが防御力アップだったり、美しさがアップだったり、と様々だった。
② "見える化"で出てくるツボは、俺が押さないと意味がないということ。試しにミヨさんに自分でツボを押してもらったが効果はなかった。
③ツボ押しはステータスがアップするだけでなく、急所や弱点も表示されるということ。
まだまだあるんだが、基本的にはこんなところだ。
街を出るまでじじばばの能力値をめちゃくちゃ上げておいたので、じいさんばあさんはあと50年は長生きしてしまうかもしれない。
③についてはさすがに誰かに試した事はなく、これが初の実戦になる。
俺はみーなを襲っている男を"見える化"した。
「おーおー、スッケスケだぜ」
「……てめえ、ナメてんのか? 殺されてえみてえだな」
男はいいところを邪魔されてご立腹だ。
乱雑に俺の胸ぐらを掴んでくる。
俺は、俺の胸ぐらを掴む男の手の甲に触れた。
「いいツボみっけ」
「ああ?」
「ナメてんのはお前だ。教えておいてやる……レイプものAVは、虚構だから興奮するんだよ!!」
そのまま思いっきり力を込めて男の手の甲を押した。
「ぐうっ……!!」
男はすぐに腹を押さえてうずくまる。
「おお、即効性あるなあ。今押したツボ、なんだかわかるか?」
「ぐっぐぐ…てめえ…な、何をしたあ!」
脂汗を流しながら俺を見上げてブルブル震える男。
どうやら急所のツボ押しはうまくいったようだ。
俺は最大級に悪い笑顔作って答えた。
「腹下しのツボだよ。トイレ、駆け込んだ方がいいんじゃねえの?」
「……っ……!!!!
男は言葉も出ないほどの激痛を我慢するかのように、俺を一睨みして慌てて立ち去った。
間に合うといいのだが。
男がいなくなると、みーながキラキラした顔でこっちを見ていた。
「助けていただきありがとうございます。あの男はギルドでも有名な冒険者なのですが、お強いんですね。貴方様は一体…」
「俺はユウマ。よろしく! さっきのはちょっとツボを押しただけだよ。俺マッサージ師だからね」
「ユウマ様と仰るんですね。マッサージで撃退するなんてすごいです! あの…そういえばなんで私の名前を? 私たち以前にお会いしたことが…?」
「えっ嘘、本当に藤崎みーな?」
「フジサキ…? 私の名前はミーナ・リシュベル。この裏にある酒場で働いているんです」
「あーいや、違かったみたい。俺の知ってる子に名前も顔もそっくりでさ」
「そうだったんですね。よかった、おかげでユウマ様に助けていただけました。あの…よかったら酒場に来ませんか?」
にこっと微笑むミーナはまさしくトップアイドル。めちゃくちゃかわいい。お礼にエッチなことを…な展開が待ってたりして…と不埒なことを考えてしまいつつ、俺はミーナに案内されるままに酒場に向かった。
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案内された酒場は石造りの壁に木の机やカウンターなど置いてあって、いかにも中世ファンタジーな雰囲気の酒場。だが店内は薄暗くお客が誰もいない。
「え、開店前?」
「違うんです、店を開けられない事情があって…」
あ、そういえばさっき借金がどうのって会話してたな。
ここ、儲かってないとか?いい雰囲気だけどなあ。そんなことを思っているとミーナが俺に体を近づける。ぴったりとミーナの胸が俺にくっついている。この大きさ…Eは固い。
うるうるした目で俺を見上げるミーナ。メイド服の胸元から谷間がしっかりと俺の目に見える。ここからの角度、とてもエロい…!
「ユウマ様、私を助けてくださいませんか…?」
「えっえっ? 助けるって…」
「私、何でもします……」
え、今何でもって言った?
何でもって、何でもって…何でもってこと!?
異世界でエロマッサージ師はじめました。 ぬぬぬぽんず @dorakinu
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