異星創造史

作者 白川津 中々

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★★★ Excellent!!!

別にトラックにひかれたわけでもなく、虐待されて死んだわけでもなく、パロディウスをやっている最中、突然宇宙空間に放り出された石田くん。『惑星開拓者に選ばれました』とペラ一枚の紙を貰い、やる気があるんだがないんだかわからないアシスタントと共に不慣れな天地創造を試みることに! 石田くんはごく普通のジャパニーズ・ニートなので、スキップ機能で進化を飛ばしちゃったり、オトコマエのサルを寒冷地送りにしたりと煩悩まみれ。それでもアシスタントの言う通り「まぁ、神様なんてそんなもんでいいんですよ」だ。石田くんは長い試行錯誤の末に知的生物を生み出すことに成功はするが、彼らの争い、やり口、愚かしさときたら、まったくこの世界の悪趣味なパロディだ。最初はどこかゲーム感覚だった石田くんは喜び、悩み、苦しみ、驚き、そして絶望していく。最初にペラ一枚で提示された終了条件は『惑星の死滅』。似たような状態の地球を見る限り不吉な予感しかないが……石田くんはステキな惑星を創造できるのか?(この作品は純文学の賞に出した方が絶対良き!)

★★★ Excellent!!!

突如として異星の神に任ぜられた石田は、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら知的生命を誕生させようとする。
そうして生まれた「人類」は地球人類をなぞるように階級社会を作り出し、文明を発展させ、やがて戦争へ至るようになる。
前半は漫才やスラングを交えながら小気味よいテンポで知的生命を作り出していき、後半はそうして生まれた人類の織りなすドラマを神の視点で見守っていく。
壮大なスケールで紡がれた大河ドラマならぬ大河小説です。

★★★ Excellent!!!

 突如として宇宙空間に放り出された主人公・石田が、謎のナビゲーターに導かれ、神様として新しい惑星を創造して、そこで生まれた生命たちが築きあげていく惑星史が興味深いです。

 天地を創造し、海の中から原始生命体が発生し、生命は進化し海から陸へと上がり、星は命で満ちていく。生命の進化を促すきっかけは、まさに神様である石田のさじ加減ひとつ。外敵が多かったり、食べ物がなかったり、環境が厳しいと絶滅してしまうが、安定した環境も進化を停滞させてしまう。遺伝子を組み替えたり、棲家を移したり、数億年もの歳月をかけた試行錯誤の末、ついに知性が芽生えた新人類を誕生させた石田の感動もひとしお。

 しかし新人類たちは後先を考えずに自滅しかけたり、旧種族を全滅させようとしたり、ついには同族で争いを始めたりと自分勝手な行動ばかり。それが生物に備わった自然淘汰の本能だとしても、手間暇をかけて生み出した生物が不毛な争いばかりしているのでは、石田でなくてもガッカリしてしまうだろう。

 現実世界の神様も今の私たちを見て失望しているのかもしれない。石田の手を離れ、文明を築き始めた人類がどんな歴史を紡いでいくのか注視したい。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)