第7話 出会い 前編

エンス視点になります。

_______________________

「ふう、今日の練習は終わりだ。」


今日も、朝から魔力を練る練習だ。

コツを掴むのが難しいかったが、今では中々出来るようになった。


「エンス、今日も練習頑張っていますね。偉いですよ。」


いつも見てくれている母さんが褒めてくれた。


それを聞いてエンスは、


(やっぱり努力が認められるって嬉しいな。)


エンスの前世では職業柄、褒められる事は少なかった。


偉い人達には、良くやったとか君のお陰だとも言われたが、それには自分に対しての恐れもあったからだろう。


(まぁ、本当に俺のことを良く思ってたら、新兵と一緒に戦場に飛ばされたりしないだろうな。)


いまとなってはどうでもいい事だがな。


(そういえば、あのあと新兵達は無事に国へ帰れただろうか?)


それもどうでもいい事か。


【気になるか?】


「うぉ!」


久々に聞いた声に驚いてしまった。


【久しぶりだな、エンス。調子はどうだ?】


(まぁ特に、普通かなぁ)


【なら良かったな。ワレはそれが心配だったのだ。

主が体調を崩してないかとかちゃんと食べてるかとかな。】


(お前は俺のオカンか!いたって大丈夫だ。)


まじで俺の相棒はいつからオカンになったんだよ。


【して、主よ。ワレがこうして話をしにきた訳だが。あの後の新兵達の事を知りたいんだろう?】


(ああ、ふと気になってな。)


【彼らは今、無事に国へ戻り、主の様に強くなりたいと、切々琢磨しておるぞ。頼もしい限りだな。

まぁ主の様に強くなるにはそれ相応の努力と時間、そしていいgans《ガンズ》に巡り合うことだな。】


(はは、俺は本当に、いい相棒と出会えたよ。)


【急に褒めるでない。ワレと出会えたことにもっと喜んだほうがいいんじゃないか?】


(……考えておくよ。)


【その感じは、絶対に考えてないが、まぁいい。】


そこで相棒は一拍置き、


【主よ。魔法は使えるようになったか?】


(ああ、母さんが回復魔法が得意だから、それを中心にね。後は水魔法を少しかなぁ。)


【それほどその歳で出来れば冒険者になれるな。】


その言葉を聞いて、


(やっぱり冒険者はあるんだな?!)


俺は少し興奮していた。


【まぁ、大きな街に行けば大体は冒険者ギルドがある。この村にはないがな。】


(冒険者かぁ〜。やってみたいな。自分の為に稼いで、自分の為に金を使う。そういう生活憧れてたんだよな。)


【なら、ワレが必要ではないか?ワレはあと少ししたら主のもとへ行けるぞ。】


(相棒が戻って来るのか。一体いつなんだ?)


【あと少ししたらワレのいる場所へ案内する。

今の主の体だと、ワレを使った時に体が壊れてしまう。】


【だから、あと少しの辛抱だ。その間に主はもっと体や魔法を磨くのだな。】


(ああ、分かったよ相棒。)


そして相棒は、


【また来るぞ。】


そう言って居なくなってしまった。








「……ス、…ンス、エンス!」


段々と母の声が聞こえてきた。


「なに?母さん。」


そう言うと、母は少し拗ねた顔で


「なに母さんじゃないわよ。急にぼぉーとして、どうしたのよ。」


「私が、いくら呼んでも反応しないし、嫌われたのかと思って、お母さん悲しくなったわ……。」


しくしくと顔を手で覆い隠しながら嘘泣きする母親。


エンスは内心ため息をつきながら、


「ぼくが母さんを嫌いになるわけないじゃないか。」


俺がそう言うと、


「そうよね!!」


満面の笑みを浮かべ微笑んでいた。さっきの嘘泣きは何処へ行ったのやら。


「そういえば、エンス、領主様が娘を連れて村に、来るから、相手してあげてね。」


「ハッ?」













_______________________

後書き


お久しぶりです。主です。人様の小説見てたら、やる気がでなくて更新遅くなりました。久しぶりなので短めです。

では、また次回。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生軍人の異世界旅行記 雪刀 @yukigatana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ