〇活!?

柊ツカサ

第1話

「ねぇ、涙活って知ってる?」

「るいかつ?なんだそりゃ」

僕のベットの上に寝そべり頭だけ布団の面積の外へとほっぽり出して、彼女は言った。

「昨日友達から聞いたんだけど、なんかね〜

感動する映画とかを観て泣くことらしいよ」

「ふ〜ん、で?」

「他には落活ってのがあるらしいよ」

「だから何?」

「なんかさ〜最近なんたら活っての増えてるくない?」

「ん〜、まぁ新参物が増えてきてる感はあるね」

「元々はさ〜、婚活とか就活とかしか聞かなかったけど、最近パパ活とかママ活とかよく聞くし〜なーんか変な感じじゃない?」

「変かどうかは知らんけど、お前の時間が数年前から止まってることはわかった」

「変じゃない?」

「変な例えしか出せないお前の頭が?」

「なんでも活をつけるのが」

「はぁ⋯⋯、別に良くないか?」

「はぁ、全くこれだからチミは⋯⋯」

「文句あんなら帰れ〜、俺はお前ほど暇じゃねぇんだ」

「もう!いいじゃんか、少しぐらい考えてよ」

「〜ったく、やっと起き上がったと思えば⋯⋯

喚くな叩くな⋯⋯

ったく仕方ねぇな、じゃあまずはどういう種類の変かを具体的に説明してくれ」

「はいは〜い、なんか⋯⋯変じゃない?」

「お疲れ様で〜す」

「ごめんて、ごめんてば〜」

「⋯⋯」

「ほら、なんかさ活って付くとちょっと変な活動何じゃないかなって思わない?」

「あ〜、やってること、内容がって事?

それってさ、パパ活とかママ活ってワードがSNS上で出てたからじゃないのか?

その時期お前、SNS見るのハマってただろ?」

「ん〜んっ、多分そう」

「お前にとって活が付くものの基準、大元がパパ活やらママ活っていう、悪いイメージの言葉だから他のも変なものだって認識すんじゃないのか?」

「なるほど⋯⋯」

「納得したなら、そろそろ帰れ

うちの晩飯は家族分しかねぇ」

「じゃあさ、他にどんな活があるのかな?」

「話聞いてたか?かえれ」

「ん〜、朝活⋯⋯は結構聞くし⋯⋯部活とか?」

「⋯⋯たく、あとは妊娠するための妊活、子供を産むための産活、育てるための育活、自分が入る墓を探す墓活ってのもあるな」

「へ〜結構あるね」

「だいたいは何かをするための前準備の事を指す言葉だな」

「へ〜」

「まぁ、略語にしても何の事を指しているかわかりやすいから、増えてんのかもしれんし、何か頑張っててその仲間欲しさに言葉を作って募って、みんなで頑張ろってやってんのかもな

同じ事で頑張ってるやつは多いし、互いに励まし合ったりとかしていくんじゃね?」

「ふ〜ん」

俺にはわからんけど、でも同じものを頑張ってる仲間が居たら自分もってなるのかもな」

「へ〜」

「⋯⋯お前、飽きただろ」

「えっ⋯⋯ナンノコト?」

「とぼけても無駄だぞ、だんだんと気の抜けた返事しかしてないだろうがっ」

「バレた?」

「バレたじゃねぇよ、さっさと帰れバカ」

「え〜いいじゃん、おばさんもいつでも食べにおいでって言ってくれてるし⋯⋯」

「言ってても限度ってもんがあっだろうがっ!週何回来るつもりだ!」

「8?」

「1週間は7日しかないのを知らないのか?」

「月火水木金土日⋯⋯わぁホントだ!」

「ホントだじゃねぇんだよ、早く帰れ

俺にはやることがあんだよっ」

「え〜、いいじゃん

どうせどうでもいいことでしょ?」

「寝転ぶな!」

「え〜眠いんだもん」

「布団被んな」

「だって寒いんだもん」

「電気を消すな!」

「眩しいと寝れない人間なので⋯⋯」

「知るか、起きろ」

「もぉ〜寝そうだったのに⋯⋯

まだ夜だよ、お母さん」

「誰がお前なんか産むか!さっさと部屋から出てけ」

「⋯⋯」

「お⋯⋯おぉ、やっと聞く気になったか」

「ん。これ以上⋯⋯迷惑、かけれないからね」

「よし帰れ、今すぐ帰れ俺にはやることがあんだ」

「わかった⋯⋯じゃあね」

「ん、じゃあなって待てお前!それ!」

『あら、もう帰るちゃうの?』

「ちっ⋯⋯帰ってたのか」

『はい』

『そう、でもお母さん今日も遅いんでしょ?うちで食べていけばいいのに⋯⋯』

『昨日もおじゃさせて頂いたので⋯⋯』

『あら、そんなこと気にしなくてもいいのに』

『それに、たまにはお母さんと同じもの食べたいので』

「そうだ、さっさと帰れ⋯⋯」

『あら、それは止められないわね

じゃあ気おつけてね』

『はーい』

「ふ〜っ、さすがのあいつもそこまで鬼じゃなかったか」

『あらっ⋯⋯コレっ──』

「母さぁぁぁんんん!!!!」

『──ちゃんのスマホじゃない?忘れてちゃったのかしら』

「⋯⋯なんでここに?」

「いない方が良かった?」

「⋯⋯居てくれてとても嬉しいです」

「本音は?」

「ソレを⋯⋯」

「具体的に説明してくれ」

「⋯⋯っ、あのその本を」

「帰るっ」

「まって!ごめんてば、その近所のお姉さんとの熱帯夜を返してください」

「んっ素直でよろしい」

「おぉありがと──」

『あんた⋯⋯帰ったらその本提出ね』

「母さぁぁぁぁんんんんん!?」

「たく⋯⋯散々な目にあったぜ」

あいつが帰って数分後俺は。エロ本を使わなくなった教科書で挟み紐でくくり、部屋の隅へと投げるとスマホアプリを開いた


やぁやぁ、進展したかい?(20:17)


開いた途端届いていたメッセージが開き、簡素な一文が現れた


→いえなにも⋯⋯それ以前に、引かれたかもしれません(20:20)

→何かあった?(20:24)

→まぁ⋯⋯色々⋯⋯そっちはどうでしたか?(20:25)

→ん〜何とか目標は達成したけど、相手に変なことしちゃって⋯⋯、君に話しにきたんだ(20:26)

→そうですか⋯⋯お互い上手く行きませんね(20:26)

→そうですね⋯⋯(20:27)

→じゃあ、まずはいつも通り軽く進展、状況変化の報告をしてから互いに打開策を考えますか⋯⋯(20:28)

→わかりました(20:28)

─では、今日も意中相手を落とす為頑張っていきましょう(20:29)


〇活、それは同じものを目指す人々が自分の仲間を探し集い、助け合い励まし合う為に作られた言葉

1部、別の意味を持つものもあるがそこをつつくのはナンセンスってやつさ

君は今何活してるんだい?

君と同じ⋯⋯仲間は他にもいる⋯⋯だから、さぁやってやろうぜ

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〇活!? 柊ツカサ @Tujasa-Hiiragi

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