キスの日SS イメージプレイ(ただのバカップル)
「晃太さんっ! キスしましょう!」
「なんだいきなり」
飯も食って風呂も終わり、俺はスマホゲームのイベントをスタミナ回復させながら必死に周回してる時、その俺の隣でテレビを見ていた結がいきなりそんな事を言い出した。
「ちょっとテレビ見てください。今日はキスの日だったみたいなんです」
「は〜、そんな日もあるのか。毎日なにかしらの日になってる様な気もするけどな。あ、トレーニングミスった」
「もうっ! 私の話聞いてるんですか!? ここ最近ずっとゲームばっかりして! なんですかヤギ娘って! 毎日毎日メェメェ鳴いて! スマホ没収ですっ!」
「へっ!?」
結はそう言って俺の手からスマホを取り上げてしまう。あぁ……もう少しだったのに……。
「一体どんなゲームなんですか? 今流行りの擬人化で可愛い女の子とかなんですか? まったく……ってホントにヤギですね。ヤギが喋ってます。なんですかコレ」
「ゲームだ」
「はぁ、そうですか……。ってそれはどうでもいいんです! キス! キスの日です!」
結は俺のスマホの画面を見て呆れるような顔をした後、それをベッドにポイッとすると、俺の膝の上に乗ってきてキスの日を強調する。
「いや、キスの日って言われても毎日してんじゃん。俺達」
「それはそうなんですけど、こうやって何かの日って特別な事をしたいものじゃないですか」
「そうなの?」
「女の子はそうなんですっ!」
「いやまぁ、いい夫婦の日とか、ポッ○ーの日とかは有名だからわかるけど、キスの日とか初めて聞いたぞ。なんでキスの日なんだ?」
「えっとですね、日本の映画で初めてキスシーンを公開した日らしいですよ? 後、ラブレターの日でもあるみたいです」
「ほ〜ん」
なんだ。語呂合わせ的なやつじゃないのか。
「と、いうわけで晃太さん! 私達も初めてキスする感じでやってみましょう」
「……どゆこと?」
「えっとですね……。あ、そうだ! この部屋を教室って事にして、晃太さんは同じ学校の先輩設定にしましょう。それで私が先輩に恋する後輩として向こうの部屋から入ってくるので、そこで告白。からのキスなんてどうですか?」
「すげぇ凝ってるな」
「えへへ……」
そこ照れるとこ違う。
そしてなんでいつもこういうイベント的な日になると暴走するんだ俺の彼女は。
普段はもっと……あ、いや、付き合ってからは割りとこんな感じか。でも学校では聖女って言われてんだよなぁ。……聖女とは?
「じゃあ私ちょっと準備してきますね! ちょっとそこに立って待っててください」
「え? 準備って何!?」
結は俺の質問に答えずに自分の部屋の方に行ってしまった。準備ってなんだよ……。
そして俺が部屋に一人立ち尽くしたままの状態で数分後。隣から声が聞こえた。
「コンコン」
ノックの音も声だった。
てか教室でノックとかするのか? よくわかんないけど合わせておくか。
「ん? 誰だ」
俺が返事をするとカーテンが開かれ、そこから現れたのは制服姿の結。
「せんばい……。天音です……」
っ!? ちょっと待て。これは……ヤバい。先輩呼びはなんかこう……胸に来るものがある。
よし、ちょっと恥ずかしいけど続けよう。
「天音か」
「はい。待っててくれて良かった……。私の手紙、ちゃんと読んでくれたんですね」
手紙? あぁ、ラブレターの日だからそのネタも入れてきたんだな。おーけーおーけー。
「ん、まぁ。あれ、天音からだったのか」
「実はそうなんです。実は名前書くの忘れちゃって……。だからちゃんと待っててくれるか心配だったんです」
「気持ちの入った手紙だったからな。そりゃ待つさ」
「せんぱい……。嬉しい……」
そんな事を言いながら頬を染めて下を俯く結。
お、おぉ? なんだこれ。すげぇ可愛いんだけど!?
「せんぱい。私、伝えたいことがあるんです」
「ん? どうした?」
ここで告白か。こういうシチュエーションでの告白ってされたことないからなんか変に緊張するな。
よし、こい!
「キスしてください」
「告白は!?」
おぉぉぉいっ! 告白すっ飛ばしてるからぁ! ついツッコんでしまったじゃねーか!
「あ……へへ。つい願望が先に出ちゃいました。やり直しますね?」
「やり直すて……」
「せんぱい……好きです」
しれっとやり直したし。まぁいいけどさ。
「俺も好きだよ」
「せんぱいっ……! ひしっ!」
そう言いながら俺の胸に飛び込んでくる。そして、俺を見上げながら小さな唇が開いた。
「ホントに好きなら……キス、してください」
「いいのか?」
「はい。先輩なら……。でも、初めてだからすごく緊張します。ほら、こんなにドキドキしてるんです」
結はそう言いながら俺の腕を掴んで、手のひらを自分の胸に押し付けてきた。
うん。そんなに激しくないな。てか、この柔らかさは……
「天音、付けてないな?」
「はい。このまま何をされてもいいと思って全部外してきました。机を繋げてベッドにされても構いません」
どんな学生だよ。やめろ。具体的すぎる。
そしてキスの日どこいった。段階を飛ばすな。よし、ここは全力スルーで。
「じゃあ、目を閉じてくれ」
「はい。どきどき」
擬音を口で言うな。
そして俺は軽く唇に触れるだけのキスをする。設定上だと、告白してからの最初のキスだからな。こんな感じでいいだろ。最初からすんごいのするのはゲームだけだと……思いたい。
「よし、終わりっ! さすがにちょっと恥ずかしいものがあるな」
「晃太さん、もう終わりですか?」
「終わり終わり!」
「そのわりにはずっと晃太さんの手が、私の胸から離れてませんけど? 私はもう押し付けてませんし」
その言葉と同時に俺はパッと手を離す。
「これはあれだ……結とキスに夢中になってて忘れたってことで……」
「むぅ。まぁそういうことにしておきます。こういうのちょっと楽しかったですし」
ちょっと!? ノリノリでしたよねぇ!?
俺はそう言うのを我慢して座椅子に腰を下ろす。すると結もその膝の上に、俺に背中を向けるような格好で座って寄りかかってきた。
「それにしても……」
「ん〜?」
「キスの日とは言っても、案外特別なキスって思い浮かばないものですね〜」
そりゃあ毎日してればそうなるよな。かと言ってマンネリ化するのもアレだし。特別……特別か。
「なら、こんなのはどうだ?」
「え? ひゃあっ!」
俺は制服姿のままでいる結の背中を捲りあげて肌を露出させる。そして──
「んんっ!!」
そのまま背中にキスをした。一箇所だけじゃない。首の下、肩の近く、腰の上。色んなところに。
「えっ! ちょっ! 晃太さん!? それ凄くくすぐったいんですぅ!!」
そんな声を上げながら逃げようとする結の腕を掴んで引き寄せ、更に続ける。最後に強く吸ってキスマークを付けてから解放した。
「もうっ! もうっ! ほんっとにもうっ!」
結は俺の膝から飛ぶように逃げると、顔を真っ赤にして俺を睨んでくる。まぁ、可愛いんだけど。
「わるいわるい。なんか楽しくなっちゃって」
「う〜〜〜〜っ! なら私もお返しですっ!」
お返しって言いながら結はブラウスの裾の部分を広げると、俺の頭に上から被せてきた。
そして結は付けてない。つまりそれはどういうことか。
答えは簡単。俺の顔はその渓谷にすっぽりはまって動けなくなる。
「ゆ、結っ!? これはちょっとまじで苦しいんだけど!?」
「え〜? だって晃太さんってこうされるの大好きじゃないですか〜? どうですか? 幸せですか〜?」
好きだけどこれはなんか違う! それに口が塞がって喋れないし!
「えいえいっ!」
ちょっ! それ以上押し付けるな! あ、これマジで……
「あ、あれ? 晃太さん? 晃太さぁ〜ん!!」
その後、解放された俺はもちろん反撃してやりましたとも。それはもうこれでもかっ! って程にな。
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こんにちは。亞悠です。
キスの日、楽しんで読んで頂けましたか?
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面白いな、もっと読みたいな。などと思ってくれたら執筆の力になります。
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そして新作のお知らせです。
【いらっしゃいませ。ご注文は以上でよろしいですか? ……セットで私はいかがですか?】
https://kakuyomu.jp/works/16816452219923043744/episodes/16816452219923390249
こちらも宜しければ読んでみてください。用務員さん並の甘さを出しています。
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