おまけ・学園のかえでチャン

 文化祭前日。放課後、廊下。

 明日へ向けて装飾や機材の準備をする生徒で溢れる。文化祭中に演奏会を予定している吹奏楽部の音色が、皆の期待と熱気を乗せて校内を伝搬でんぱんする。

 楓は文化祭開始のスピーチ用原稿を書き終え、文化祭実行委員の支部がある部屋へ届けに向かっていた。

 後ろから呼び止められる。


「あ。楓さん、ちょっといいですか」

「須藤さん、お疲れ様です。どうしましたか」

「実は、実行委員で張り出しを予定していた演目スケジュール表の作成をすっかり忘れてしまっていたのですが、手が回っておらず……その、お手伝いいただけないかと」

「なるほど。大丈夫ですよ。生徒会と事前に打ち合わせ済みの記録データがあったはずなので、それをもとに作成すれば時間はかからないはずです。あとで本部のお部屋にデータをお届けしますね」

「まるで後光が見えるかのようです。ありがとうございます!」

「人間ですから、後光は出ませんよ」


 小走りで走っていく須藤に手を振る楓。

 再び支部の部屋へ向かっていると、廊下を曲がったところで椿に会う。椿は体操着のジャージ姿で頭にタオルを巻いている。手にはペンキの缶とブラシ。


「楓だ。生徒会は忙しいみたいだね」

「立ち止まる時間は今できましたので」カメラを構える。

「なんだかすごく撮られてるのだけど」

「準備撮影用でしたので」連写を止めない。

「それは仕方ない。プリントしたら今度ゲームしようね」


 椿がカメラに向かってピースサイン。

 カメラの後ろで楓が微笑む。

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楓の記憶あそび 向日葵椎 @hima_see

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