なぜか二人出会った

声を重ねて

悲しみ揺れて

星の水溜まりがビルに映っていた

衣が擦る音

懐かしげなノート

人混みから響き

書き連ねたる言葉と

幸せな星

何度も通りすがり


人を憎んで愛すのなら

交差点で姿を消した

たった一つの光を

覚えてくれてもいいだろうが


朝が来て夜になるなら

駅のプラットホーム

のように

美しく生きよう


悲しい人を見て

幸せになりたいと

願ってしまってさ

愚かしい二人の唯一の

過ちが

流れる人影が

重ねる頑張りが

人並みから抜け出し

明日へ向かおうと

していたのだ


人を傷つけ抱き締めるなら

優しい嘘をついて

時間進めよう

信号だって青に変わり


人は生きて死んでいくなら

優しい時間に

辿り着くため

心を振り捨てて





誰もいない部屋で一人

年老いて泣き崩れて

思い出になれば美しい

たとえ愛せなくても


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なぜか物語であった 稲吉急便 @inayoshi9

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