かの地・・

のの(まゆたん@病持ちで返信等おくれます

第1話

かの地・・


そこは3つの衛星を持つ砂漠の星


その人の事を 宇宙船のシャトルの中で想い焦がれる

恋人ラーノルは あの砂の星にいる・・。大気突入のカウントダウンが始まる

シャーリンは胸元のペンダントを握り締める・・これはただのペンダントの宝玉ではない


アルテシアはそれに見覚えがあった

誰より綺麗なシャーリン

そしてアルテシアにとって大切な友人


以前 シャーリンはアルテシアに微笑みながら 

「素敵でしょう? リア博士がくださったペンダントなの」


「リア博士?環境工学と遺伝子工学のスペシャリスト?

確か 惑星開発用 浮遊型オゾン装置発生器を作った人

それに藻の成分で出来た鳥も造ったのよね


オゾン発生装置は ルアナル3号星を救ったと聞いたわ」


彼女の目は いつもかの地 砂の星に向けられていた

3つの月を持つその星に シャーリンの恋人が住んでいる


彼女は 恋人と引き裂かれ・・砂の星から連れ出された


今 シャーリンは小型シャトルを奪い その星に向かおうとしている


映し出された スクリーンの映像のシャーリンに 友人であるアルテシアは

「ばかな事をしないで! その小型船 シャトルはスクラップ同然の代物よ

とても大気圏突入には耐えられない!」


「あの人が・・暴徒に襲われたというの!! 私 とてもじっとしていられない」

涙ぐみながらシャーリンは答える


2年前

数少ない貴重なA級テレパスである彼女は 

なかば強制的に恋人と共に住んでいた砂の惑星から連れ出され 

宇宙連合ESPセンターに収容された


そこで アルテシアと出会ったのだ


シャーリンは

「なんと言っても リア博士は遺伝子工学の天才よ。 

実験中の事故で 赤ちゃんが生めなくなった私の為に 

このペンダント この子をくれたの」


そう言って シャーリンはペンダントの宝玉に微笑む


ペンダントの宝玉部分 この中に 

時を止めた彼女(シャーリン)と恋人ラノールの卵子と精子を結合させた

受精卵が凍結させてある


「これは私の受精卵

私のあかちゃん いつか二人で あの人の待つ 砂の惑星に帰る」


「シャーリン」




「シャーリン」 「シャーリン!!!!」それはなかば悲鳴だった


「もう突入は始まったわ」 映像は途切れ消える


数分後 シャトルは燃え尽き分解した


「シャーりン」アルテシアが嗚咽交じりに力なく 声を発する


もし彼女にテレポート能力があったなら

だが 連合史上 確認されたテレポーターは

わずか数人 しかもその距離は 数十メートル 


生き延びるのに必要な距離は数万キロ

誰もその可能性に気がつかない


天空・・蒼穹の空に・・金色の髪が踊る


優しく砂の大地が彼女を受け止めた


そして その手には ペンダントの宝玉


FIN

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