そのうちに多分 載せますね
ニューヨークのクリスマスツリー
それはまだ第二次大戦が終わり、間もない頃のちょっとした話
欧州で生まれアメリカにいる友達夫婦に預けられた幼い姉妹 ユダヤ人の幼い姉妹
実の両親はどうなってしまったのか もう分からないままだ 旅券が手に入らなかったらしく‥消息は不明
「パパ~ママ~」まだ幼さの残る妹はニューヨークのロックフェラーの大きなクリスマスツリーを見ながら笑っている
ツリーの電飾の飾りが夜空の下でキラキラと‥
「お父さん、お母さん」
「シャーリイ、エリー ねえコーヒーとドーナッツを買ってきたからみんなで食べましょうね」義理の母となった人が優しく笑う
「仕事が忙しかったが、ようやく取れたクリスマスの休暇だよ、楽しく過ごそう」義理の父も楽しそうにしている
「家に帰ったら七面鳥 ( ターキー)を焼いて、ローストビーフにはグレービーソースをたっぷりと
ポテトにニンジンにそれからシュトーレンに苺のケーキに‥コーラにクランベリーのジュースもある」義理の父の言葉
「ふふっ お父さんが好きなアップルパイにホワイトシチュー、シエパードパイもよ」義理の母の明るい声
「ママのおばあちゃんから代々伝わったシュトーレンもね」ウインク一つ
「わ~い」兎のように飛び跳ねる幼い妹 妹の頭を優しく撫でる義理の父
「サンタさんに何が欲しいか決めたかい?ヌイグルミかい?それとも新しいドレスや手袋かな?」
記憶の中にある別れ際の実の両親の泣きそうな笑顔
少なくとも私達は生きて‥優しい両親の友人夫婦に愛されて‥
欲しいもの 一目だけでいい実の両親に一言だけ伝えたい
「愛してます、大好き」
言葉には出せない 本当のお願い‥
ふんわりと義理の母が私達姉妹を抱きしめる
「大好きよ二人とも、私達の元に来てくれて有難う」
ひらひらと雪がそっと降って来る
メリークリスマス‥。