シリアを経由した石油・ガスの輸送ルートは、2026年3月現在、ホルムズ海峡の閉鎖という世界的なエネルギー危機の中で、**「死に体だったインフラを、総力を挙げて蘇らせる」**という緊迫した局面を迎えています。
最新の「シリア・バイパス」の状況を整理しました。
1. イラク〜シリア〜地中海ルート(キルクーク・バニヤス・パイプライン)
かつて20年以上放置されていたこの伝説的なパイプラインが、今、最優先で復旧作業に入っています。
現状: 2026年2月、イラク政府は地中海のシリア・バニヤス港へ至る約850kmのパイプライン再開を決定しました。ホルムズ海峡が使えない今、イラクの石油を世界へ出すための「最後の希望」の一つです。
課題: 長年の放置と戦闘で1,000km以上の管がボロボロになっており、完全復旧には45億ドル以上の費用と2〜3年の歳月が必要とされています。しかし、現在は「応急処置」として、トラック輸送を組み合わせた暫定的な運用が始まっています。
2. シリア国内からレバノンへの「命のバトン」
隣国レバノンも、ホルムズ海峡の混乱でイラクからの海上輸送が止まり、深刻な停電に見舞われています。
陸路輸送: シリアは自国が支配権を奪還した東部の油田(ジブサ油田など)から、タンクローリー(1,000台以上の車列!)を使って、陸路でレバノンへ燃料を運び込んでいます。
アラブ・ガス・パイプライン: エジプトやジョルダンのガスをシリア経由でレバノンへ送るネットワークも、2026年に入り、地域安定化の切り札として再稼働しています。
3. ダマスカス:陸の「ハブ(結節点)」としての役割
あなたが仰ったように、ダマスカスは今、単なる都市ではなく、**「海がダメなら陸を通せ」**という世界中の意志が集まる場所になっています。
サウジアラビアの関与: ホルムズ海峡を避けるため、サウジもダマスカスを経由する陸路(道路・鉄道・パイプライン)の整備に強い関心を示し、資金援助も検討されています。
バニヤス港に並ぶ古いタンクローリ