らてまるがかっこいいところをかきたかった

@rairahura

第1話

〜なんか知らんけど子供が襲われる感じ〜


自らの楽しみを邪魔するとは何事かと魔物は途中で動きを止め黄色く濁った眼を衝撃が来た方へと向ける

魔物の目線の先には今しがた魔物の頭にぶつけられたであろう盾を構えたらてまるの姿があった

魔物は苛立ったような喰り声を上げるとまずは自分の邪魔をしたララフェルから始末してやろうとばかりに子供たちに向けていた爪を今度はらてまるに向けて振りかぶる


そして戦いの火蓋は切って落とされた

次々と繰り出される牙や爪を盾ではじきながららてまるは反対の手に握った剣を閃かせる

それぞれの剣戦は一つで致命傷に至らしめることはなくとも少しずつ確実に魔物の命を削いでいく

魔物がいくら運身の力を込めて腕を振り下ろそうとらてまるの盾には傷一つつけることができなかった


らてまるが大声を出すことは決してない

派手な光や力で威圧するわけでもない

それでも彼女の一挙手一投足は魔物の注意を惹きつけた


自分の身体が使い物にならなくなっていく

自分の攻撃がほとんど盾に阻まれて届かない

野に生きる魔物の生存本能が正常に働いていれば確実に逃げるという選択をしただろう


しかしらてまるの一撃一撃は少しずつ魔物の開争本能を煽り

いつの間にか正常な思考は奪われ

その選択肢は頭の隅にすら残っていなかった元々の目的であった子供たちすら眼中になく

もはやらてまるから目を逸らすことすらできなくなり

狂ったようにらてまるに向けて届かない攻撃を続けていた


〜なんか知らんけどしばらく戦う感じ〜


いつまでたってもかすり傷程度しか負わせられず苛立ちを募らせた魔物は突如その気配を爆発的に膨ませる

この魔物は自らの針のような毛を全身から放つ技を隠し持っていた

当然再度毛が生えるまでは身を守る物を失うため魔物にとっても諸刃の剣であり使うのは最後の手段だったがもはやらてまるに攻撃すること以外の思考を奪われた魔物に躊躇う理由はなかった

らてまるはその怒り狂った気配から子供たちの身にまで危険が及ぶことを察すると

魔物と子供たちとの間に駆けこみ背後に剣を突き立て正面に盾を構える


するとらてまるの背中から輝く翼が飛び出してきた

もちろんらてまるはララフェルなので本物の翼が生えてきたわけではない

らてまるの身体から放出されたエーテルの奔年流が展開され背後にいる者を守るように翼を模したような盾を形作っていたのだった

常であれば人の身など穴だらけの残骸に変えてしまうであろう魔物から放たれた無数の針はらてまるの光輝の翼に打ち消され子供たちに届くことはなかった

自分の最大の攻撃すら打ち払われついに身を守る術を失った魔物はあまりのことに一瞬冷静な思考を取り戻し元々の目的であった子供に狙いを定める

せめて1人は道ずれにしようという魂胆だったがそれすらかなうことはなかった


「こっち」

静かな

しかし絶対的な圧力を伴う声がらてまるから発せられる


魔物は自らの意識が子供から引きはがされらてまるに引き寄せられることを感じた

先ほどまで一瞬戻った冷静な思考は焼切られ

逃げるという選択肢すら押し流され

魔物は正気を失ったような胞嘩を放つっと子供らには目もくれず再びらてまるに向けて飛びかかった


〜またしばらう戦う感じ〜


魔物は最期の力を振り絞ってらてまるに襲い掛かる

もはやほとんど力を使い果たしたその攻撃はいとも容易く打ち払われる

しかしらてまるの守ることに特化した戦い方は全身に傷を負おうと牙をむき食らいつこうとする魔物に致命傷を与えるには至らず戦いは魔物の力が全て尽きるまで続くかのように思われた

しかし戦いの終わりは唐突に訪れる

突然魔物が真っ二つに切り裂かれ真横に吹っ飛ぶ

流石に体が別れてまで命を繋ぎとめることはできず魔物はついに地に伏した

それを見たらてまるはたいして驚いた様子もなく剣を収めると攻撃が来た方向を見やる

そちらには遅れたことを詫びる風もなくにやにやと笑みを浮かべるミコッテの姿があった

指先では今しがた魔物を仕留めた得物がくるくると回されている


遅いと不満を訴えるようにらてまるが視線を送るとライラは武器を収め

「ヒーローは遅れて登場するって言うだろ?」と悪びれもせずにのたまった

らてまるは彼女の相変わらずの態度に溜息をつくと振り返り子供たちの方に駆けていく

子供たちの状態を確認し大きな怪我などがないことを確認すると安堵するように息をついてから笑顔になり言葉をかける

「もう大丈夫だよ」

子供たちは自分より小さいその姿にしかし絶対的な安心感を覚え終わり

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