男達の剣術三本勝負~10年越しの決着を~
牛☆大権現
三本勝負
俺には、ライバルがいる。
いや、言い換えよう。
一方的に、ライバル視している男がいる。
アイツ自身は、俺の事なんて眼中に無いだろう。
なにせ、一度も勝てた事がない。
だが、俺は何ともしても勝ちたい。
一度で良い、アイツの鼻を空かしたい。
だから、地元を離れたのだ。
「頼もう! 」
10年振りに故郷の土を踏む。
汗で蒸れた防具の匂いが、鼻を突く。
「誰かと思えば、
今頃どうした? 」
稽古を中断して、奥から面を外して出てきた人物
彼こそが、俺のライバル
「お前に勝負を挑みに来た。
10年前の
背中に背負った、竹刀袋を見せる。
「……分かった、稽古が終わるまで待ってくれ 」
「三本勝負、
それで良いな? 」
道場生を帰らせた後、俺達は二人だけで
「ああ、異論はない 」
俺の竹刀は巻き落とされ、
__それが、罠だと気付かずに。
俺は巻き落とされた勢いを利用して、手首を返し受け流しの体勢を作る。
俺の竹刀を擦るように、
「
「この10年、俺は
どうした、まだ二本残っているぞ? 」
油断はしない。
今の一本は、手の内を明かす前だからこそ。
次は、ちゃんと対応してくるはず。
「強くなったな、剣ではお前に勝てないだろう 」
だが、俺にとっては意外な事に。
敗北宣言ともとれる言葉が、継彦の口から出た。
「俺の
残りの二本は、こちらでお相手しよう 」
そう言って取り出したのは、短い竹刀。
短刀を模した物だろう。
「俺を馬鹿にしているのか?
明らかに間合いで不利だ! 」
怒りを抑えきれず、キツい物言いとなる。
「言葉を尽くしても、納得しないだろう?
やってみれば分かる 」
奴とは長い付き合いだ。
相手を馬鹿にするような人格じゃないのは、知っている。
冷静になった俺も、開始線で
相手を深く観察する。
開始直後、小手に深く
何が起こったのか、俺には理解できない。
「
俺の家では
俺は思い出した。
この地、
確か、その落人の名前は……
「良いのか、そんな物を俺に見せて 」
「本当はダメだ、
お前だから、見せてるんだよ 」
再び、開始線で
次の三本目に、意識を集中させて。(完)
男達の剣術三本勝負~10年越しの決着を~ 牛☆大権現 @gyustar1997
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