第22話
目が覚めた。
お家だった。眠たい目をこすりながら、リビングに行くと、ママがいた。パパもいた。
お友だちがいた。先生もいた。近所の優しいおばちゃんも、親戚の人も、皆んないた。
あぁ、これが夢じゃなければ良かったな。
夢見はママに飛びついた。
パパにキスをした。
お友だちとお菓子を食べた。
いっぱい笑った。
もっともっと、行きたい場所がある。大きくなったらなりたいものがある。
いつか、恋もしたい。
子供だって欲しかった。
全部、あの事件で消えちゃった。
夢も、希望も、夢見の未来は消えちゃった。
本当はもっと生きたかった。
さよなら、大好きな皆んな、夢見は行くね。
——夢見は目を閉じた。
泡沫の夢は、ここで、おしまい——
————
目を開けると、目の前に女の人がいた。
女の人は言った。
「生まれ変わって、いっぱい恋をしなさい」
って。
ママ、パパ、お元気ですか?
夢見はね、今、遠い世界で生きてるよ。
お友だちも出来たし、それに、好きな子も出来ちゃった。まだ告白は出来てないけどね。
だから、心配しないで。
こっちのお母さんとお父さんもいい人だよ。夢見をいっぱい愛してくれてるよ。
でも、絶対に忘れないんだ。
夢見は、二人の子供でいたいんだ。
だから、忘れないで!
夢見がそこに、在ったことを。
そして、夢見の分まで、
生きてください。
泡沫夢見。
完
◯⚪︎泡沫夢見の夢遊英雄譚⚪︎◯ カピバラ @kappivara
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