第21話



 妖精さんの剣で、マオーを刺した。


 真っ黒なマオーが光に溶けて消えていく。夢見が剣を振り上げると、マオーは完全に消えた。


 倒したんだ。


 妖精さんが、元の姿に戻った。


「妖精さん、死んじゃ嫌っ」


「勇者ユメミ……魔王を倒した、ん、ですね」


「人の話、きいて!」


「勇者ユメミ、もう……気付いて、いますね?」


「……そんなことはいいから——」


「気付いて、ますね?」



 妖精さんのばか。


 気付いてる。夢見の見ていた夢は、こっちじゃなくて、あっちだったんだって。


 夢見は小学生になってすぐに死んじゃったんだって。通学路、大きな音がして、死んじゃった。


 いっぱい頑張って、生きようとしたけれど、


 さいごは駆け付けた大好きなママ、そしてパパに抱きしめられながら、死んだの。



 だから、夢見は天国に行かなきゃいけない。


 でも、お別れ出来なかった。ちゃんとお別れしないと、悪いおばけになるのに、


 お別れ出来なかったんだ。


 妖精さんは、そんな夢見を助けてくれようとしてたんだね。こんなにボロボロになってまで。


「勇者ユメミ……よく、頑張り、ましたね……さいご、に、わたしからの、プレゼント、です」



 妖精さんが光の粒になった。


「妖精さん!? いや、いかないで!」


「勇者ユメミ、一人で行けますね」


「いやだよ! もっと冒険しようよ、妖精さん!」


「さようなら、小さな勇者」


「妖精さんの方が小さいでしょ! 妖精さ……」



 消え、ちゃった。



 ————



 目が、覚めた。

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