第3話
バーに着くと、店に懐いてる白猫のシロが外で牛乳をペロペロっと飲んでいた。店には、バイトの女子大生のあかりさんが、暇そうにテレビを見ていた。今日は木曜日だし、お客さんこないだろうなと改めて思ったが、バーのドアを開けて中に入った。あかりさん「あっ、いらっしゃい桂さん」バーに入ると、俺は1番隅の席に座った。
「何飲みますー?」とあかりさんが聞いてきたため、「じゃあ、ギネスもらおうかな」と桂は言った。ビールを飲みたい気持ちがあったが、お漏らしをしたことが脳裏のどこかにこびりついていて、似たような色は飲みたくなかった。そこで黒ビールのギネスを飲むことにした。「はい、桂さんお疲れ様です」そう言ってあかりさんが、綺麗に注がれたギネスをカウンターに置いた。「あっそう言えばさっきバリウマラーメンでマスターに会いましたよ」と桂は、ギネスを一口飲む前にあかりさんに告げた。「そうそう、どうやらマスター、今日は奥さんの帰りが遅いみたいで、家でご飯食べてこなかったみたい」とあかりさんが言った。なるほどーそういうことね。まあ、マスターが平日の夜に外食するイメージはないもんなあ。
そんなことを考えていると、「ただいまー」と言って、マスターが帰ってきた。「いやあ、久しぶりのバリウマラーメンはうまかったなあ」と言って、マスターがカウンターの中に入ってきた。「マスター、桂さんとバリウマラーメンで会ったみたいですね」とあかりさんが言った。「そうそう、ばったり会ったもんで飲みに来ないか誘っんたんだぜ。」マスターは、そう言ってジャックダニエルを愛用のグラスに注いだ。「お疲れー」マスターと桂は乾杯した。マスター「いやあラーメンの後の酒は美味えな。」「そうだそうだテレビでもつけるか」と言ってマスターはテレビをつけた。画面には、色気のあるお姉さん系のアナウンサーが映っていた。「このアナウンサーいいよなあ、俺タイプだぜ」なんてことをマスターが言ってると、夕方見たあのニュースが流れてきた。アナウンサー「お伝えしております、丸岡市西区桜田団地サンライズインで起きた事件ですが、今のところ犯人につながる有力な手がかりは見つかっていないとのことです。この事件では、この家に住む長野さんの10歳の長男、輝君と、8歳の次男、清志君の幼い2人の命が失われました。一刻も早い犯人逮捕に向けて、情報提供をお願いいたします。」
「------------------。」
桂は一瞬時が止まったかのように、頭が真っ白になっていた。
悲しい世界線 @matushi
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