第4話 友達
昔から友達には恵まれていた。持ち前の明るさと剽軽さで、人見知りはあまりしなかった。
そして幸い、高校に入ってからもわりとすぐに気の合う友達ができた。本当に世の中うまくできてるな。ちゃんと自分に合う人が自然と集まるものだ。
いちばん仲が良かったのは、垣本美奈子。
ストレートヘアがよく似合う、ちょっと個性的な女の子。背が高くてすごく目立つのだが、控えめで、でも芯はしっかりしていて、整った顔立ちで面白いことを言ってくる。
部活動も一緒だった。
ちなみに部活は、家事部。週に1回お菓子やご飯を作る部活動だ。料理しかしないのだから料理部という名前にすればいいものを、なぜか家事部という妙な名前でやっていた。まあ幽霊部員も多く、だいたい各学年のギャルがコミュニティーを作りたくて入った部活という感じだ。(いずれ家事部の副部長になるのだが、その話は私の人生で最も自慢にならないもののひとつなので触れないでおく)
美奈子とは毎日放課後を共にした。
家事部の日以外は、いつも教室でくだらない話をして、イケメンを探しに他の部活動を見に行ったり、マックへ行ったり、カラオケに行ったり、、毎日が楽しかった。
美奈子が塾へ行く日、私は暇だった。
私も塾に行きたいなーなんて、そんな軽い気持ちで親に相談すると、公立の高校だから塾も行かせないとね、という感じでOKしてくれた。(父はやはり自分の私立高校に入らなかったことが少しはショックみたいだった)
そして、私も美奈子と同じFゼミに通うこととなる。
初めての塾。同じ高校の子が多いとは聞いていたが、たしかに見たことある顔が沢山あった。
美奈子の横の席に座る。少し緊張。
先生が来たら、どんな風に始まるのかな、当てられたりするのかな、、
でもやっぱりなんか見たことある顔が多いな、あの子も同じ制服だ。
この前に座っている人も、、、あれ?
考える前に手が動いていた。
ぽんぽんっ
私の右手が、前に座っている彼の背中を叩く。
振り返ったのは、枠谷蒼太だった。
目が合う。
彼は何も言わずにまた前を向いた。
えーーーーーーーー
なんか言ってくれてもいいじゃん!!
声が出なかった私も悪いが、無視するなんてひどくないか?なんなんだよ。てゆうか、なんで声をかけようと思ったんだろう。。
なんだか恥ずかしくなってきた。
隣にいた美奈子は何も言わずに、教科書を開いた。
マリーゴールド りん @shiyori5
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マリーゴールドの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます