第4話「拠点(リビング・ベランダ)」

 さて拠点編最後になりました、メイン活動場所となるリビングとベランダです。メインというだけあり、1番生活をする際で重要になる場所です。


 まずリビングの手っ取り早い話ですが「窓に断熱フィルム」「冬は室内でテント」「部屋が複数ある場合リビング以外使用しない」以上の3点が要点となります。


 最初に「窓に断熱フィルム」です。これは主に夏用の対策です。網戸で外気を取り込むことやエアコンの使用が不可能な状況下でこの対策を行わなければ、ゾンビに噛まれる以前に汗と熱中症と水切れで死にます。


 殺人すら犯す熱の主な侵入経路、それは窓です。窓から熱気が入り、夜まで逃げずに留まることで室温が上がっていきます。更に詳しく解説すれば朝日が昇り、夕日が沈む方位...即ち東と西の窓が戦犯なのです。


 暑さ対策を行わなければどうなるかは簡単です。水の消費が激しくなり、汗により不潔が進み、夜間に熱中症となる危険性が高まり、ここで飲用水を不足させ体調でも崩せば一瞬で死にます。


 そこで登場するのが断熱フィルム。目的は日光を遮る事と視線を遮ることです。選ぶ際には断熱のみならず、遮光と視線を遮る為にも黒色を選びましょう。


 そしてこの断熱フィルムの素晴らしい点は夏のみならず冬にも、外へ熱を逃がさない為の効果を発揮してくれます。フィルムの種類によってはガラスの飛散防止効果まで期待できます。これはゾンビにガラスを割られたとしても足の裏をガラスで怪我しない効果まで期待できます。


 ゾンビアポカリプス対策にあたって窓全てを断熱フィルムで保護することは義務にして良いレベルでしょう。設置も窓に貼るだけなので賃貸でも気にせず対策が出来ます。素晴らしい!綺麗な景観はゾンビにでも食わせてください。


 次に「冬は室内でテント」について解説をします。はい、寒くなってきたら室内でテントを張ってください。冗談ではありません。


 いくら発電機があろうと冬に暖房は使えません。ガソリン発電機ならば可能性はありますが、燃料確保の問題から1季節を越せるわけもなく論外。


 電気を使用しない石油ストーブというのもありますがこちらも同様の燃料問題があります。


 また純粋に電気で稼働するだけのハロゲンヒーターや電気毛布はどうなのかと言いますと、燃料を必要としない分の埋め合わせで消費電力が恐ろしいほどに高く150000mAhのバッテリーをフルチャージしていても基本的に一晩すら持ちません。そして再びフルに充電されるまで数日も要します。


 だからこそテントです。着れば良いだけでも無いのです、テントは必須です。ゾンビアポカリプスサバイバルにおいてテントは室内で使うのが常識です。

 

 まず1つとして先述した断熱フィルムとテントがあれば服の消費が減ります。服は着込めば良いのですが基本的に消耗品と考えてください。着れば着るほど汚れますし劣化します。そして洗濯をしようにもゾンビアポカリプスにおいて水と洗剤は貴重であり、そもそも冬は乾燥も遅いです。


 テントです、そこにテントがあれば着衣の消費を1枚分抑えられます。衣服の節約と言っても発汗と同じレベルで寒さは死を連れてきます。


 寒いと風邪を引く確率が高まるどころか体温の消耗も激しくなりカロリーを無駄に浪費します。更に筋肉にも作用し、体が暖まっていないと急な2分間バリケードやゾンビ逃走運動を行うことすら出来ません。


 特に2分間バリケードのタイミングは神以外にはゾンビのみぞ知ることであり、例え就寝中だろうが何だろうがすぐ起きて動かないと死にます。体をいつでも動かせるように暖かさを心がけておきましょう。


 そして室内テントの更なる利点としては、テントを張ればそこが部屋になるという点です。


 例えば、拠点移動をした場合の新しい拠点はプレッパーの家でも無ければロクな対策らされていません。必ずされていないものと疑ってください。


 そこでテントです。テントを張れば新しい環境が即座に知っている環境に整備されます。どんな埃だらけの家だろうが寒い家だろうがテントがあれば最低限の行動は可能になります。


 寝袋ではダメなんです。1日中でも潜っていられてストレスが比較的かからず温度調節が容易なテントでなければ。


 個人的にお勧めするテントは、サングッドというメーカーのシングルテントです。

 

 長方形の形をしていて、折り畳みが容易であり縦にも置ける。専用のバッグも付属しており収納面積も圧迫しない優れもので例えすぐ逃げなければいけない状況でも30秒あれば畳めることが可能です。災害時には広く利用された実績のある品ですので是非。


 最後に「部屋が複数ある場合リビング以外使用しない」です。


 これの理由も単純なもので、単に掃除の簡便化と在庫の可視化の為にリビング以外の部屋があればそこを中身がすぐ見える陳列物置にします。


 生活する部屋をたくさん持てば、それだけ移動や掃除で働くことになります。ゾンビアポカリプスサバイバルにおいて室内作業をする日は、食事を限りなく簡素に済ませねばならずその為には少しの移動すら削らねばなりません。


 人間が省エネルギーでいられるのは寝転がっている状態ですので、成るべく仕事を発生させないように生活圏を絞りましょう。


 棚卸も時間をかけている暇はありませんし、有事の際には脱出用に纏めていた荷物以外にそこから少しでも追加で持ち出さなければそれは丸々と損失なのです。


 出来る限り、素早く見つけられて素早く回収できるよう努力が必要です。


 選ぶ時間も無く闇雲に掴んだ持ち出し品よりは、並べておいたおかげで瞬時にピックアップした持ち出し品の方が遥かに寿命を約束してくれることを忘れないでください。


 リビングとそれ以外の部屋に関する話は以上です。次にベランダ(庭)の方へと。


 ベランダはとにかくスペースがあると良いです。基本的にゾンビサバイバルで食糧の確保は第一であり、初日からと言わず今からでも野菜の1つは作っておく事をお勧めします。


 お勧めする野菜はまず庭があればカボチャ、プランターならニラです。


 庭があればまず、必ず、確実にカボチャを植えてください。あれは最強のゾンビサバイバル野菜と言っても過言ではありません。


 カボチャの利点はまず「育てやすさ」でコイツは種を生ゴミと埋めておくだけでも勝手に育ちます。

 

 下手すると草取りすら不要で、肥料を切らすという最悪の事態になっても生ゴミと新しい土だけで育ちます。


 しかし大きな方が可食部も大きくなってくるので肥料は大袋1つでも良いので確保はすべきです。


 次の利点は「保存期間」です。カボチャは切らずにおけば軽く2ヶ月は保存ができます。ただし傷を着けず、湿度も低い場所でですので保存場所は選びましょう。


 そして特筆すべき欠点はありません。ええ、本当に育てる際に当たっての欠点はそれこそ粗捜しを血眼ででもしない限り見つかりません。


 連作障害も起こさず、種からの収穫率も高く、種の採取も簡単で、固い皮で害虫に実を食害されることもまずない。


 ジャガイモやサツマイモ、そしてタンパク質が補給できる植物である大豆も候補には挙がりました。


 ですがジャガイモは連作障害があり肥料に弱く、サツマイモは苗から育てなければ収穫率が低くその苗がゾンビアポカリプス下では入手困難と切り捨てざるを得ず、大豆も苗の入手と連作障害で採用は見送られました。

 

 プランターの話へと移りましょう。プランターで育てる野菜は先程も言ったようにニラを推奨します。


 こちらも庭で推奨したカボチャのように利点として「育てやすさ」が第1に来ます。


 水さえ切らさなければニラはまず育ちます。というかプランターでなく適当な庭の隅でですら勝手に増えてくる程の生命力があります。植物用の水が切れたら庭のスペースを消費しますが植え替えが可能です。


 ただニラは雑草と混ざると非常に見分けるのが面倒となりますので、あくまでプランター栽培推奨です。それでも軽く3年は土を取り替える必要もなく栽培可能です。


 そして何より肥料に強いという点がニラにはあります。野菜は肥料が直に当たると肥料焼けという現象を起こしますがニラは肥料焼けにとても強いです。


 とは言っても流石に耐えられない量を撒けば肥料焼けはしますが、本当に大概な量さえ大丈夫だったと自分で試してみました。


 それとニラの栽培を調べると恐らく「収穫は2年目」からという文字が出てくると思いますが無視して1年目から普通に収穫してください。あれは売るための専業農家がするようなやり方です。


 最後に種の選び方ですが、こちらは「F1品種」と「固定種」の2種類があります。


 この際は確実に「固定種」の種を選びましょう。


 「F1種」は利点はあるものの、欠点を簡単に説明すれば毎年新しい種を買う必要があります。


 ゾンビアポカリプス環境では種生産者も皆ゾンビです。毎年採取した種を使い回せる「固定種」という種を買いましょう。

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今日から備えるゾンビアポカリプス 蘇逢薊 @aoi_ninja

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