第3話「拠点(廊下・浴室・トイレ)」

 では玄関が終わったならば次は廊下、トイレ、浴室といった脇役に目を向けよう。


 脇役とは言っても生き残る上での最重要素なので決して手は抜かないように。脇役が主役を引き立たせ、そして脇役が居ないことには主役も成り立たない。


 廊下、まず廊下は備品庫でもあり同時に一瞬の生死を分ける命綱でもある。


 基本的に廊下は中央を空けて、小走りが可能な程度に荷物を積んでおくのが好ましい。


 それと前話で玄関攻撃を受けた場合を語ったが、侵入され逃げる場合にその積んである備品を薙ぎ倒せば即席のバリケードにも成りうるから荷物は高く積むべきである。


 お勧めの設置物は細長いメタルラックで、そこには水の備蓄や日用品等をズラリと置くと在庫の棚卸が容易で尚良い。


 次に浴室。これはトイレも密接に絡んでくる以上、まとめて解説する。


 こちらも生き残る上で最重要レベルであり、バスタブに水を貯める。それだけで水洗トイレが使用可能になり手洗い洗濯が可能になり、とどのつまり飲用水を飲用以外で浪費せずに済むようになる。


 特にトイレが屋内で済ませられることはゾンビアポカリプスにおいて大きな生存貢献となる。


 何故なら用をたしている最中は無防備であり、これが水不足になるとゾンビの彷徨く外で無防備を晒すことになる。そして排泄物は基本的に汚物であり、数ヵ月~長くなると年を数えるゾンビアポカリプスにおいて不衛生極まりない。


 衛生が整っていないことは即ちストレスや病気に直結する。人間は1日に何度トイレに行くのか、そして汚物を長期間家の外へ放ることによる影響を考えれば決して手を抜けない事だとわかるだろう。


 浴室の解説からしよう。バスタブにいつ水を貯めるのか?という疑問については「雨の日」以外に存在しないものと思っていい。


 雨の日は基本的にバスタブとベランダの往復に費やそう。だが水受けはバケツ1つあればそれでいい。あまりにも多く持ちすぎるとそれは収納スペース圧迫だ。


 水受けは質より量のペットボトルが効率が良い。受け口は小さいが縦長であり、水の備蓄をするならば確実に手元へ空が出来るであろう存在である。


雨どいを加工する技術があるならばゾンビアポカリプスが発生した際に側溝へ落とすパイプをベランダにホースで接続し寄せて来るとその欠点も遥かに解決する。ただその場合は煮沸や浄水をしても決して飲まないように。


 雨を受けるならば降り始めの雨はバスタブに入れ、最後の数本だけ予め飲用水ボトルと定めておいて備蓄するといい。


 この備蓄方法の理由は気象庁のページなどでも詳しく解説されているが、降り始めの雨は基本的に大気中の酸性物質を巻き込んでいる為とても汚いのだ。


 更に時期によっては花粉やら黄砂も混ざることがあり、これら不純物が不健康に繋がる。「雨を受ける際は降り終わりの雨」と、命が大事ならば覚えよう。


 降り終わりだからと言って用心の煮沸と濾過を怠ってはいけないことも同じく。せめて濾過が出来なくても煮沸は即座に行おう。綺麗でも雨は雨で、放置すればたちまち菌が繁殖する。ボトルの消毒も欠かさずに。


 続けてトイレについても補足をするが、どうしても水不足で野外トイレを迫られた場合の方法を教えよう。


 まず庭に出て、縦長に穴を掘る。土は山にして重ね、園芸用スコップでもあれば突き立てる。


 これで即席トイレが完成する。後は排泄を穴の中にしたら上から土をかけ、穴が8割がた埋まれば次の穴、次の穴と掘っていけば良いだけだ。


 虫や異臭が出てくるのを防ぐために塩素系の漂白剤や重曹も用意してあるとまた衛生的になる。


 雨天時で野外トイレが利用できなくなった場合の対処もある。これも簡単なことで、ビニール袋とペットシーツのセットを用意しておいてそれを簡易トイレにする。翌日にそれを埋めるのだ。


 ペットシーツは1単位で200~300枚入りのものがありふれており、ビニール袋と合わせたとしても問題の収納スペースは室内のトイレに置けば良い事である。ペットシーツはまず吸水性や消臭性に優れているので絶対に使用すること。


 今回は臭い話ばかりになって申し訳ない。だが排泄という行為は人間が毎日欠かさず行わなければ健康的とは言えない行為であり、1つ間違えれば拠点をダントツで汚染する行為でもあり力を入れて解説する必要があったのだ。


 だがこれで脇役たちはバッチリだろう。特に衛生回りに関しては...そのまま生死に繋がる。ゾンビが溢れて余計死にやすい世の中を生き残るため、というかこれ自然災害にも転用できるからよく覚えておくといつか役立つ。


 拠点(廊下・浴室・トイレ)はこれで終了です。お付き合いありがとう。


 次回は拠点(リビング・ベランダ)を解説したいと思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る