[連載版] トロル

作者 舛本つたな

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★★★ Excellent!!!

 一般論でいえば、もう少し物語の経過を見てから、レビューを打ったほうが適切な内容が書けるんでしょう。

 しかしこの物語の場合は、共有脳というアイデアが強烈なため、おそらくどこの話数の時点で書いても、注目する大事なポイントに変化がないので、この時点で書けると判断しました。

 少しだけネタバレというか物語の核心に触れるのですが、人間に共有脳を導入することで、あらゆる概念に変化が生まれました。

 弁護士資格をはじめとした、専門的な訓練と実地経験を伴わないと使い物にならないはずの知識が、お手軽に使えるようになったのです。しかも上書きも削除も思いのまま。

 共有脳を媒介にして共感能力を高めることより、殺人どころか戦争ですら未然に止められます。

 一見すると、プラスの情報が並んでいるように思えますが、SF小説ですから、もちろん負の側面もたくさん出てきます。個性の概念が薄れるというか個人と個人の境界線が薄れていくわけですね。

 ですが、この物語においては、もっと重大なポイントがありまして、それが殺人行為の価値観の変遷です。

 じゃあその価値観をどうやって揺さぶるかといえば、ウイルスを使います。

 トロルと呼ばれるウイルスがありまして、こちらも共有脳を媒介して他人に感染してしまうんですよ。どんなウイルスかといえば、人間が凶暴化して、しかも共有脳を使うことで戦闘行為に必須な経験を安易に導入できるため、無軌道な人間兵器みたいな状態になります。我々の世界における元軍人の乱射事件を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

 じゃあ、そんなウイルスに感染した人間を誰が止めるかといえば、脳なし、つまり共有脳を導入していない人間が対処することになります。

 またの名を免疫屋ですね。

 ここで価値観の逆転が起きます。共有脳によって殺人どころか戦争を回避できるようになった人類に、なぜかト… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

近未来ものは納得感、ありえそう感が大事だと思っています。

本作品で使われる共有脳がもし本当に実現したらどんな世界になるか?
そこに対する考察、違うな、考察というより愛の波動を感じました

舞台設定は近未来ですが、現代のSNSへの批判でもあり忍び寄るトロルの如き彼ら彼女らに対して我々は殺して黙らせる以外の選択肢がとれるのか?作者の考える今後の展開に思いを馳せるとワクワクします。

だいぶ世界観を練り上げてから書かれた作品かとおもいますので、是非是非最後まで書ききって頂きたいと思います!!今年度で最高に期待しています