2

 ――って、終わらせようとしたけど、まだ他のことを思い出した。あの、先生が、みんなの気持ちをおもんばかって、授業を工面して、「次の時間はプールになったよ~」とか笑顔で言って、みんなが「やった~!」なんて叫んでるとき、あたしゃゲンナリ。もう戦時中に赤札来ちゃった気分だよ。本当に。だって、下手すりゃ、死・ぬ・かもしれないんだから。


 国語のままで良かったんだよ。国語が理科になろうが、社会になろうが、それでもいい。百歩譲って体育になってもサッカーやバスケならいい。P以外ならいい。何でPにするんだ。迷惑千万! 


 楽しそうにバシャバシャじゃねえよ! 1、2、3、ブクブク……じゃねえよ! こちとら死ぬわ、マジで。てめえらなんて、プールともども巨神兵に焼き払われろ! クシャナ殿下、ご命令を!!


 こんな惨めな人間がいることも知らずに、一生を終えるおめでたい奴もいるんだろう。「え? 何で? プール楽しいじゃん! 変なの。かわいそうだね~」とかって……Fuck you!! 当時からこういうノー天気なリア充(当時そんな言葉はなかったが、私は早くもそういう人種の存在を認識していた)どもが、ヘドが出るほど嫌いだった。こんな奴らが幸せそうに暮らす、この世とか人生というものに、早くから距離を置きはじめていた。


 あの頃、オイラは叫びたかったんだ。クソッタレめ! プールなんて、大嫌いだーーーーー!!! と。違うだろーーー! と。


 でも中学くらいから、体も少しは大きくなって、プールの楽しみも分かってきた。あの恨みつらみはうやむやになった。でも、それがまたムカつくのだ。


 やはり、現役のときに叫ぶべきだった。膿みたいに残らないように、本当の想いを「今」その時に出さないとならん。あの頃の自分に、何度でも叫ばせてあげたい。

 FU×××××××××CK!!!(当時は知らなかったけど、「スカー・フェイス」あたりのアル・パチーノ風に)!!!


 おしまい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

プールなんか、大嫌いだー! ひろみつ,hiromitsu @franz

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ