第12話(最終) 俺の名は最強の武闘家ハダマだ!



 時刻は昼。

 見回りを終えて村に戻ってきた俺たちは休息をとっていた。

 ルクスはカタリナと花畑へピクニックに行き、ザンは村の子供たちに乞われて剣術を教えていた。

 少し離れた場所ではマナが自作のガーゴイルをセットしている。

 なんでも魔物が村に近づいた時に迎撃するように設定したらしい。

 これで俺たちが村にいない時も安心というわけだ。



 ちなみに俺は一人で鍛錬中で回りに村人はいない。

 以前に比べればだいぶ村人が話しかけてくるようになったのだが、まだ壁を感じる気がする。

 俺は自分の今の姿をチェックする。



 上半身は袖なしの毛皮のジャケット、たぶんノースリーブとかいうやつだろうか?

 布面積が異様に少なく、着ている意味をあまり感じない。

 下半身は黒いベヒーモスのふんどし。

 以上だ。



「おかしい所は特にないな」



 俺は首をひねる。

 ならば何故寄ってこないのだろうか。

 そろそろ弟子の一人でも取ろうと思っていたのだが・・。

 何か問題があるはずだ。

 あるとすればやはりこの上着か?

 なんとなく蛮族のようにも見える。



「そういえば以前倒した山賊の頭領もこんな上着だったな」



 たしか奴の服装はノースリーブの毛皮のジャケットに皮の腰巻、頭には鬼熊の頭骨をかぶっていたはず。

 ふんどしという大きな違いがなければ今の俺も山賊のような姿と言える。

 もしや村人が恐れているのはそのせいか?



「む? つまり上着を脱いでふんどし一丁になればよいのでは……」



 俺がそう考えていると、背後から小さな気配を感じた。

 振り返ると村に住む少年が一人で近づいてきた。

 年のころは10~12才位だろうか



「おじさん。僕、あなたみたいに強くなりたいんです! 僕を鍛えてくれませんか!」


「なんと!?」



 予想外の言葉に俺は驚く。

 弟子が欲しかった俺にとって、まさにグッドタイミングではないか。

 それに嬉しいことを言ってくれる。



「ふむ、少年よ。つまり君は俺のように美しい筋肉を、そしてふんどしを求めるのだな?」


「え? え? 筋肉? フンドシ……?」



 少年は首を傾げる。

 もしや少年の言葉を聞き間違えたか?

 まぁでも誤差というやつだろう。

 気にする必要はないだろう。



「少年よ、俺の訓練はきついぞ? 耐えられるかな」


「やります!」



 少年の瞳はきれいでとても澄んでいる。

 まるでダイヤのように無垢な輝きだ。

 こういう目をしている者は皆、己の目的へとまっすぐに進んでいく。

 彼は良い戦士になるだろう。 



「よし、俺がお前に筋肉の正しい鍛え方、戦いの心得を教えてやる!

 まずはお前にプレゼントだ」



 俺はそういうと近くに置いたリュックへと手を伸ばす。

 きれい整頓されたふんどしは履く用、布教用、観賞に分けてある。

 その中から布教用からシンプルなふんどしを選ぶ。

 初心者には白がいいだろう。

 俺は畳まれたふんどしを3枚だすと少年に手渡す。



「あのぅ、これは?」



 おそらくふんどしを知らないのだろう。

 少年はきょとんとした顔をしている。

 これはつけ方も教える必要があるな。



 少し不安そうな少年の肩を優しくつかみ、俺は最高のスマイルを浮かべる。



「これはとても体に良いものだ。いいか、俺がお前を一人前の武闘家にしてやる!

 なにせ俺は勇者パーティ最強の武闘家、ハダマなんだからな!」




       ~fin~

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勇者パーティから追放された武闘家の男~最強すぎる彼が追放された理由はふんどし!?~ 平成忍者 @ninja3

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