第11話 開拓村の朝
◇
時刻は早朝、開拓村のはずれにある泉。
そんな人気のない場所へ青年が一人やってきた。
開拓村に住む男だ。
用心深く辺りを見渡していて、なにやら挙動がおかしい。
彼は近くの泉から水音が聞こえると、ごくりと生唾を飲み込む。
(あそこでマナさんが水浴びをしているんだ……!)
彼がここに来た目的は覗きである。
黒髪巨乳美人であり、『災害』の二つ名を持つ少女があそこにいるのだ。
この時間帯に彼女が一人で水浴びをしているのを掴むのにかなり時間がかかった。
かなり危険な橋を渡ったが、ついにやり遂げたのだ。
正直に言うと、村にとって命の恩人である彼女の裸を覗くのに良心が痛む。
だがここで覗かなければ一生後悔するだろう。
やらずに後悔するならやって後悔した方がいいに決まっている!
男はそっと茂みをかき分け、泉を覗き見た。
その瞬間、彼は息をのんだ。
朝の日差しで照らされた見事な肉体美。
まるで天才芸術家が作った彫刻のようだ。
筋肉が割れて、スジがみえる程美しい
筋肉は分厚く、肩の僧帽筋が並ではない。
上腕二頭筋なぞ山脈のように隆起している。
大胸筋がすごく仕上がっていて、まるで大胸筋が生きて歩いていると思ってしまうほどの躍動感。
お尻なんてプリッとしていて、まさにグレートケツプリといった感じだ。
もう自分でも何を考えているのか分からない。
分かることはただ一つ。
ここに彼の求める女体はなく、むさい筋肉男しかいないということだけだ。
男が失望のあまりため息をつく。
その瞬間、筋肉男と目が合ってしまった。
「なんと貴様!! 覗きか!」
泉から筋肉男が上がってくる。
もちろん全裸でだ。
股間のモノをブラブラさせながら風のように迫る巨漢の男に青年は恐怖した。
慌てて逃げ出そうとするが、あっさりと捕まってしまう。
「なんという男だ! いかに俺の肉体美が羨ましいからと!」
「ち、ちがうって! てっきりマナさんがいるのかと!」
◇
慌てて弁明した男は思わず口が滑ってしまったようだ。
それを聞いた俺は顔色を変える。
「なんとハレンチな!? 貴様それでも男か!!」
「ひいっ!?」
俺に胸倉をつかまれた男はその剣幕に怯えあがる。
マナにはザンという恋人がいる。
それをこの村人は知っているはず。
さすがにこの行為は許せぬ。
これは罰を与える必要がある。
俺はにやりと笑った。
「貴様、そんなにみたいのか?」
「え?ええ、そりゃあまあ……。もしかして覗きを手伝ってくれるのかい?」
この期に及んでたわけたことを。
俺は残酷そうに口を歪める。
俺は村人を押し倒すと、この男の顔を太ももで挟んだ。
もちろん全裸でだ。
「そんなに見たいなら見せてやるわ!! 俺のお稲荷さんをゼロ距離でな!! この俺の肉体美で貴様の邪念を払ってくれる!」
「ひいっつ!? そ、そんな汚いモン近づけ……!うっ、うぎゃぁっつああぁっ!!!???」
村はずれにスケベ男の絶叫が響いた。
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