第10話 俺たちの絆はダイヤモンドだ
戦いは終わった。
後に残ったのは山となった魔物の死骸。
これは後で焼かねばなるまい。
きちんと埋葬するか、焼かなければアンデッドとして復活するからだ。
さすがに今から処理するのはキツイ。
最寄りの開拓村で応援を呼ぶべきだろう。
俺がそう考えていると、ルクスが隣にやってきた。
とても真剣で、すまなそうな顔つきだ。
「助かったよ、ハダマ」
「何を言う。俺たちは仲間だろう?」
仲間なら助け合う。
足りないところがあれば補い合う。
それは当然のことだ。
俺たちは今まで苦難を共に乗り越えてきた。
たかがケンカ一つで揺らぐような脆い絆ではない。
俺たちの絆はダイヤモンドにも勝るはずだ。
俺はそう確信している。
「……そうだな。なぁ、ハダマ。譲歩するよ、だから戻ってきてくれ」
「む?」
譲歩とはなんだろうか?
もしや勇者パーティ全員がふんどしを着用するということか?
ペアルック。
いや、パーティルックといえばいいのか。
俺は勇者パーティが皆お揃いのふんどしを着けているのを想像する。
ふむ、悪くはない。
悪くはないが、聖女カタリナとマナが怒りそうだ。
俺は以前マナにふんどしをオススメした時に魔法で焼かれそうになったことを思い出した。
うむ、やはり無理強いは良くないな。
健康に良いとはいえ、自ら望んで着けてもらいたいしな。
「下は履かなくていい、せめて上着を着て布面積を増やしてくれ……!」
そう考えていると、ルクスは断腸の思いといった感じで声を絞り出した。
そうきたか。
俺は悩む。
出来れば俺は信念を貫きたい。
だがその結果どうなった?
大事な仲間を危うく失うところであった。
俺は自分の信念と仲間の命どちらが大事なのか。
そんなのは分かり切っている。
ルクスたちは譲歩してくれた。
ならば俺も。
「分かった」
「え!? いいのか!?」
ルクスは目を見開いて驚く。
そんなに驚くことはないだろうに。
「なぁに、自分の信念と仲間。どちらが大事なのかは言わずもがなだろう?」
「ハダマ……」
「さて! もう行こうか。ザンの手当てをしなければな!」
俺はザンへ視線を向けると、出血多量で気絶していた。
命に別状はなさそうだが急いだほうが良さそうだ。
俺はザンを背負って町へと駆け出した。
だから俺は気づかなかった。
マナがルクスに耳打ちしていたことを。
◇
「いい? こうやって一枚ずつ服を着せていくのよ」
「わ、分かったよ……」
女ってやっぱ怖い。
ルクスはふとそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます