第3話:厄日の到来、2

「ぐおおおおおおおーーーー!!!!」


「姉ちゃん、あれはーー!?」

たくさんの鳥たちが恐怖にかられて飛んでいったのを見上げながら、耳朶が破裂しちゃいそうな耳障りな咆哮が聞こえてきたので、俺はネノ姉ちゃんに思わず、近寄ってすがりつく衝動にかられる。


「セオー、私の後ろに居なさいー!あの音は魔物みたいなのー!」

間髪居れずに、俺をその二の腕で抱きついてきたかと思うと、直ぐに俺を彼女の後ろへと移動させて、庇うような形にしてくれた。


「あなた.....あれは間違いなく......。」

「......そう。....あれだなー!オレたちの今まで戦ってきたどれよりも強そうな感じがする!セオー!セアー!直ぐにここから離れろーー!危ないぞー!ここは父ちゃんや母ちゃんに任せて、早く逃げるんだーー!」


すごい真剣な表情となった父ちゃんと母ちゃんがそれを俺たち二人に振り向けながら叫んできたのだけれど、


「でも、父ちゃんたちを置いて逃げるだなんて......ありえないよー!どんな魔物であるかにせよ、家族みんなで逃げるか一緒に戦うべきだろう!?そうだね、姉ちゃんー?」


と、そう提案して姉ちゃんに賛同を求めるように後ろ姿に声をかけてみたけど....。


「........。」


黙ったままなのである。


「姉ちゃん、なんとかいってよー!ねー?ここはみんなでー」

なおも主張しようとする俺を振り向かないままで黙ってるままの姉ちゃんにー


「セアー!お願いだー!弟を連れて逃げていけー!いいなーー!!今すぐだーー!!!」


「-!!? くっー! わかったわ、お父様ー!無事で帰ってきてねー!」


お父様ー!?はじめて父ちゃんに対してそう呼んてる姉ちゃんだー!んー?ええー!?なんで姉ちゃんがいきなりこっちに振り向いて、顔を至近距離まで近づいてきたのー!?近い近すぎてなんか頭が茹で上がー


「ちゅっ。ごめん、セオー!はああーー!」


いきなり頬に唇をつけたかと思うと、次にー


ゴドーーー!

突然の間に、強い衝撃が頭の裏に直撃して、意識が..............


......................................


...............


カルソン・グラントの視点:


「セアに弟を頼んだのは正解だったわよね、あなた。」


「ああ......なにせ、昔、セオを拾った前の話だと、あの時は確か、セアがまだ2歳だった頃に、オレと共に偶然に魔物に襲われる現場にいたからな.....。あの子の時のショック顔やその後の混乱っぷり、未だに鮮明に脳裏によぎるままだ。」


「......あの時は無我夢中で魔物を一も早く、彼女に危険が及ぶ前に倒したかったのよねー?で、セアがあまりにも怖がってあなたにしがみついて離れないままだったから、戦いに集中するためにあの子を気絶させたのよねー?」


「ええ......仕方ないとはいえ、実の娘に手を上げるのはあの時が初めてだった。まさか、今回となっては彼女自身がその役割が回ってくるとは......」


「ぐわおおおおおおーーーーー!!!」


「あなたー!くるわよー!」


「ああ!わかったぞー!霊装戦士(ショルドラ・ニョルコ)第2形態ー!岩包全身硬殻頑鎧(エビノラム)ーー!! うううおおおおーーーー!」


全身を岩のような鎧に身を纏ったオレは、向かってきた、あの木を衝突し

倒木させたところにある、巨大な漆黒の蜘蛛のような姿をしている魔物を迎え撃つように、両拳をこの目の前にある地面に振り下ろそうとするーー!


「二人ともー!どうか無事に家まで帰ってくれーー!こんなクソ蜘蛛をぶっ倒したら、父ちゃんたちすぐにお前らのところに帰るぞー!」

切にそう願うばかりだった。


_____________________________________________






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ルリニア地にて、俺たちは白銀の鎧を身に纏う 明武士 @akiratake2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ