一の歌

 黄金郷に未だ至らざるかの時に、祈りはまさに空を切り風を打ち、少年の耳鼻をたくましく蹂躙する。それは洗面台の中でライフルの銃身が三度皿により砕かれ、折り曲げられるときのように、美しい。それは苦難にあえぐカーテンが床に引き裂かれるときのように、はかない。少年の耳鼻は今や祈りで満たされた。祈りは彼の脳を祝福を以て屈服させ、捕虜にし、蜂に捕らわれた蟻の脳を今や今やと待つ。おお、杣人よ、汝は森か。おお、杣人よ、汝は森か。

 荘厳今日の無様とて、無き風と祈りは去る。それは城を曲げ、石垣を打ち、冠を砕く。それは本棚の隅のように悲しい。ああ、古き杣人よ、汝は森か。問う五行のまろびにて駆ける少年は祈りの奴隷となり、先遣隊の道をそのまま行くだろう。ならば洗脳の長兄は彼を強く支持し、監視の長兄は彼を見ない。少年は祝と呪に恩御され、行脚の末に見るものは無い。


 ああ、古き杣人よ、汝は森か。クライマックスの森か。死相の森か。ニューギニアの森か。ブラジルの森か。黒い森か。ああ、古き杣人よ。古き杣人よ。古き杣人よ。少年の首をその斧で打て、古き杣人よ。


 桃源郷は仏陀のお膝元にもない。どこにもない。存在しない。しかし少年は桃源郷へと足を進める。彼の首を小分けに小脇に抱えながら。彼の頭の中の桃源郷へと捧げる暴虐の祈りの道徳と花崗岩の石英の永遠の音を頼りに。蒼白で血みどろの彼の頭は、思考を砕き、荘厳の郷へと導く。郷に入れば扉を叩けと汝は申した。混乱の郷の大通りに反逆の長兄は存在する。

 それは漏れ出る体液が雄弁に語る。手際の通りに液体は漏れ、ああ異臭を放つ。日々の行為に無得なるご確認を得た末に少年のからっきしの美しさをお前は得る。奪うなよ。奪うなよ。混乱のカーニヴァルのお通りだ。従順の長兄は憧憬をドラマをアキレス腱に捧げる。寂や遠来の友は喜ばしや。


 ああ、古き杣人よ、汝は森か。クライマックスの森か。死相の森か。ニューギニアの森か。ブラジルの森か。黒い森か。ああ、古き杣人よ。古き杣人よ。古き杣人よ。少年の首をその斧で打て、古き杣人よ。


 逢坂のサークルの去来の魚雷よ。ハワイの砂浜に打つ波よ。ヒマラヤを押し上げんとするインドよ。鋼京の空を貫く幾重もの魔らよ。北京の空に漂う塵よ。雷子の腸を引きずり出す汝は杣人か。晴れの字雲の字蜘蛛の文字、そしてこれは網に絡まる。電子の網に絡まる。私はお前を常に見ている。快感の波にいきり立つ魔たちよ。

 遺跡の奇跡を切れ痔の入れ火に走馬灯を掲げる。あえぐ暴君は鍋に押しつぶされてしまうときに王の王たるゆえんを知らない。返上の風を打ち、祈りは捧げられる。少年の足は細切れになり、鉄のような液体が彼の肉を焼く。ああ、これこそが強制の長兄の矯正との共生だ。


 ああ、古き杣人よ、汝は森か。クライマックスの森か。死相の森か。ニューギニアの森か。ブラジルの森か。黒い森か。ああ、古き杣人よ。古き杣人よ。古き杣人よ。少年の首をその斧で打て、古き杣人よ。


 さ よ う な ら 。

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