ラウンドノンセンス

猫杓子定規

序の歌

 引き返せ。左上、もしくは下にある左矢印を今すぐに押すがいい。これは到底人の読めた文章ではない。これは長年放射能にさらされた砂糖漬け柑橘類のように、お前の心と歯と脳とを溶解せしめんとするために作られた。よろしい。ならば覚悟のできた脳だけ前へ進むがいい。その愚昧なる足音を響かせて前へ進むがいい。その退廃のニューロンを以てこの文を侵略するがいい。そのソナーの声帯を以ていかにこれが不気味かを触れて回るがいい。

 ならばV文字の雁の群れの先陣を切る一羽のように、この硬質退廃無意味文字の群衆を切り抜けて見せよ。終わりの時に私と君は常にそこにある。官能のクレバスに落ち込む冒険家のように、やがて一体となることだろう。

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