第4話 癒しを求めて!

 リンと一夜共にして翌朝。

 窓から暖かい陽が差し込んできて目を覚ます。

 リンよりも早く起きたので起こさないようソウッとベッドから降りた後一階へと行き、井戸から引き上げた水で顔を洗う。

 よく冷えた水なので、意識が完全に覚醒する。

 エリーとミリーも起きていない感じなので、少し早いが朝食の準備をする。

 その間、今日の予定をどうするか考えていると階段がギシギシと軋む音がした。

 そちらに目を向けるとリンが起きたみたいだ。

「おはよー・・・」

「おはよーリン」

 リンはあくびをしててまだ眠たそう。

「リン大丈夫?眠いなら俺が朝ごはん作るから寝てても大丈夫だけど」

「んーん、大丈夫」

 と答えつつもまた大きく口を開けてあくびをする。

「顔洗ってきな」

「ん・・・」

 リンが顔を洗っている間今日の予定を考えていると、ふと閃いた。

「リン」

「どしたの?」

「今日あそこの草原に行かない?」

「ん?ああ、あそこの。いいね、いこいこ」

「じゃあ決まりだね」

「エリーとミリー起こしてくる」

「了解」

 そうと決まれば俺たちの行動は早い。

 朝食を食べたら武器を装備して荷物を持つ。

 武器は通常だと急所に防具を着けるのだが、今回は不要。むしろ完全武装だと警戒して近寄って来ない。ただし何かあるかわからないので服の内側に二本短剣をしまっておく。

 荷物は昼食に使う皿やフォークなどを入れる。

「三人ともー、準備出来たかー?」

 二階に向かって声をかけると。

「今できたよー」

「「できたー」」

「よしっ、じゃあ玄関前に集合なー」

「「「はーい」」」

 そして俺たちは家よりさらに南にある、草原へと出発する。


 休憩を挟みながら歩いて約二時間。草原に到着。

 風が吹けば草木が揺れて、葉と葉が擦れた音が俺たちを迎えてくれる。

 草原と言っても周りには木々が立ち並び、草は俺の膝下まで伸びている。

 俺たちの目的は、ここで癒されること。そのためにもまず近くにある座れそうな岩などに腰を落としてリラックス。あとは荷物を静かに置いて待つだけ。

 これに何の意味があるのか、それはしばらく待てばわかる。

 待つこと約五分。

 周りの木々が聳え立つ間からモンスターらしきのが目に映る。そのモンスターは警戒をしており、中々出てこない。しかし辛抱強く待つこと更に約三分。徐々に姿を現し、こちらによってきた。

 俺たちの近くまで寄ってくると。

「おっと。よう、久しぶりだな」

 ぽよんっとジャンプして俺の懐にやってきたので、受け止めてぷよぷよとした独特の肌を撫でやると、気持ちよさそうに少し身体をへにゃっと蕩けさせる。

 そう、こいつらはスライム。基本戦闘は好まず、群れになって生活・行動をする。他のモンスターよりも警戒心が強く、見慣れない相手だと一目散に逃げてその土地から離れるんだとか。しかし何故かこいつらは俺たちを見ても逃げず、むしろ自ら近寄ってきて構ってと身体をぽよぽよと跳ねさせてアピールしてきた。そして構ってやっているうちに懐いた、というわけだ。

 まあ、考えられるのは俺らは周りの冒険者グループと比べて、殺気を放っていないからだろう。

 俺がスライムと戯れているとリンたちの方にもスライムたちが寄ってきて構ってとぽよぽよ跳ねてアピールしている。

 それからしばらく、スライムたちと戯れて日頃の疲れを癒した───。

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異世界の日常! 比企谷こうたろう @HiKiGAYAkotaro

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