五 王位継承の歴史
五○○年程前、世界にモンスターゲートから巨大なドラゴンが現れた。それを討伐したのが勇者カメリアと十一人の仲間たちだった。彼らは十二聖戦士と呼ばれた。
ドラゴン討伐後、彼らは各地に国を作り、統治することになった。
ポンジャ王国もその一つだ。武闘家のポンジャが初代国王となったのだ。
それから月日が流れ、今に至る。
ポンジャ王国では代々、第一王子と第二王子に決闘をさせ、勝った方を王にする習わしになっていた。ポンジャが武闘家であった為、強いものを王にする方針を取ったのだ。
だが、先々代から選考方法が変わった。息子たちが争い、傷つき、時には死んでしまうこともある決闘は野蛮であると当時の王が言い出し、以降は話し合いにより決める事になったのだった。
この世界の人間の寿命はおよそ五十歳から六十歳だ。なので、王が四十歳前後の時に王位継承を行うのが通例である。
話し合い方式では全ての王子に継承権があった。ポンジャ王国には現在第八王子までいるが、第五王子以降はまだ幼いため、実質的には第四王子までが今回の候補になっている。
その中から、王や王妃、長官らの討論によって二人までに絞り、最終的には投票で決定する。王は自分の息子たちなら誰でも良いという立場であり、王妃は自分の産んだ子供が王になることを望む。長官らは人柄や強さ、知力など、それぞれが求める王の資質に合致する王子を推薦する。
会議には様々な意見が出た。
年齢から武芸の強さ、知性や性格など様々な方面から王の資質を検討していった。ポンジャ王国は国としては盤石な状態で、モンスターの発生などがありつつも平和を維持していたので、次の王に特別な力は求められていない。
無難な所で第一王子と第二王子のどちらかでいいだろう、という話になりつつあった。
クリム姫の介入が無ければ、次の王はおおむね決まっていたのだった。
モンスター・クライシス 卯双誉人 @allan_crane
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