第24話




 王城へとついた私は、用意しておいたドレスに身を通してから、謁見の間へと向かった。

 そこで、現国王であるオリッカ王と謁見をする必要があった。

 ……久しぶりのドレス姿ね。


 ここまで動きやすい服を着ていたので、ドレスは少し窮屈だ。

 この日々が戻ってくるのは、嬉しくもあり、残念な部分もあるかなぁ。

 謁見の間へと向かっていった私は、道行く人の注目を集めていることに気づいた。

 

 ルフェルがいるから、というのもあるのだろうけど、やっぱり私が注目されてしまっているようだ。

 私の家は公爵家として、何度かオリッカ国にもくることがあったとはいえ、だいたいが舞踏会などの日だった。


 疑問を持たれているのは当然よね。

 謁見の間についた私たちは、王座についていたオリッカ王の前まで行き、すっと頭を下げた。


「顔をあげてください」


 王は柔和な笑みとともに、私たちにそういった。

 すっと顔をあげると、オリッカ王はルフェルへと視線を向けた。


「ここまでの護衛、ありがとうございます」

「いえ……当然のことをしたまでです」


 ルフェルは一礼をしてから、一歩後退した。

 オリッカ王へと視線を向けた父が、表情を緩めた。


「今回……我々を受け入れてくれて助かりました」

「いえいえ、それは当然のことです。友人のお願いですから」

「……それで、ダイル国から何か言われてはいませんか?」

「色々と話は聞いておりますね」

「この国に迷惑をかけるようなものではございませんか?」

「そうですね……今のところは。問題ありませんかね。……とりあえず、こちらの手紙を見て、返事に関してはあなたたちで判断してもらってもよいでしょうか?」


 そう王が言うと、王座の近くで控えていた騎士――キングスガードがこちらにやってきて、すっと一枚の手紙を渡してきた。


 ……キングスガード。それは優秀な精霊使いだけがなれる職業の一つ。美しく、凛々しい視線でこちらを見る彼女に一礼をして、父が手紙を受け取った。


 ……その中を開いて、彼の顔が険しく、赤く染まっていく。


「……お父様?」

「――この手紙を見て、返事をするかどうかはおまえが決めていい」


 父はそういって、私の方に手紙を見せてきた。

 ……たぶん、あんまり良くない内容なんだろうな、と私は思いながら手紙を開いた。

 始めは王への形式に沿った挨拶が行われていた。しかし、そこから私に向けた手紙が書かれていた。


 ……手紙の文字から、恐らくウェンリー王子が書いたのだろうことが分かったが、その内容に思わず唇を噛んでしまった。


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婚約破棄、国外追放しておいて、今さら戻ってきてほしいとはなんですか? 〜今さら戻るつもりなどない私は、逆婚約破棄をして隣国で溺愛される〜 木嶋隆太 @nakajinn

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