ぼくだぼく

大嫌いなあの人に

優しいメイルを送らなければ

当てのない夜の向こう

さがし続けた谷のそこのぞこう


君は何か忙しいふり

悲しい人が一人いる

触れただけで逃げていく

水のようだね


19の僕の世界には

優しいやつがいる

かわし続けた涙を

受け止めてしまう


かわいいやつだな俺は

そんなに泣くのが楽しいか

汚れた喜びの扉

愛おしいのはいまだけさと笑う


君は何か悲しいふり

忙しい人が一人いる

枯れたあとはそのままで

銀行に行く


20の俺の世界には

切ない影が延びてる

電信柱の裏

引っ掻いている


それだけで何かあるわけ

ではないが折れてしまった

この心を治す暇を━

「いや、これは折れてませんね」

医者は言った

「打撲ですな」

僕は乾き笑いを

肘の打撲は

3日で治ったよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

外へ出てけよ 稲吉急便 @inayoshi9

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る