7-2
ロイド男爵と話を終えたキバは、グレイ街の郊外に向かった。
どこまでも広がる荒野。そこでアルバート将軍が兵士たちの訓練を進めていた。
「キバ殿!」
キバの姿に気がついたアルバートが元気よく呼びかける。
「どうですか、訓練の方は」
キバが聞くと、アルバートは頭を掻きながら答える。
「正直、難航していますね」
アルバートが任されていたのは、騎兵の育成だった。
アルザス軍の主力であるベッテルハイム率いるシフ軍は歩兵中心だ。
もともといたアルザス人の軍には少数の騎兵がいたが、会戦で運用できるほどの数ではなかった。
そこで、ロイド男爵に頼み馬を購入し、新たに騎兵軍団を作ろうとしているのだ。
ひとまず集まったのは二千人。
だが、そのほとんどはもともと歩兵だった農民だ。
それゆえ、まず馬の乗り方から教えなければならなかった。
「なんとか馬を走らせることができるようになってきましたが、戦場で戦うまでには至っていません」
当たり前の話だが、昨日まで農民だったものが、いきなり騎兵になることはできない。
キバは当然そのことを理解していた。
「ひとまず、馬に乗って移動できるようになれば、それで十分ですから」
キバには、即席の新米騎兵が戦場で“即戦力”として活躍するビジョンが見えていた。
「ええ。なんとか、そこまではたどり着きます」
だからアルバートは、未熟な騎兵たちに手を焼きながらも、キバを信じて訓練に勤しむことができた。
――と。
キバとアルバートの元に、一人の兵士が近づいてくる。
諸外国の情報収拾を任務としている男だ。
「アルバート様! キバ様! 重大な知らせです!」
突然のことにアルバートとキバは顔を見合わせる。
「どうしました?」
その知らせは――国を揺るがすようなそれだった。
「――ギール王国が、東方と和平を結んだそうです!」
七人の追放者 〜無能すぎると辺境に追放された俺たちが集まったら無敵でした〜 アメカワ・リーチ@ラノベ作家 @tmnorwork
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