第9話 エピローグ
ポッドは自力で大気圏突入を行う能力を持っている。
数分でポッドは大気の上層に達し大気圏突入が始まった。機体表面が千五百度の高温に曝される。
その温度に耐えポッドはパラシュートを展開する。ブラックアウトを抜けて地上の無線が受信出来る様になった。
「こちら管制室。シャトルは大気圏突入で破壊された。しかし脱出ポッドが射出されている。イーグルリーダー、ポッドをミサイルで破壊せよ!」
地上では僕も感染していると決めつけてポッドを破壊しようとしている様だ。
僕が司令官でも同様の判断をするだろう。でも僕は感染していない。何とか生きて地球に帰らないと……。
ポッドの計器を見ると高度は三万フィート。僕はポッドのレーダーを操作して接近して来る二機の戦闘機が十マイルに迫っているのを確認した。既にミサイルの射程範囲だ。
僕はポッド内に設置されている緊急パラシュートを背負って、ポッドの搭乗ドアを緊急モードで爆破排除した。
そのまま、身一つで機外へダイブする。
直ぐに上方でポッドがミサイルに撃たれ爆発した。
僕はそのままパラシュートを開かずダイブを続け、高度千フィートでパラシュートを開くとカリフォルニア州の乾いた大地に着地した。
直ぐに数機のヘリコプターが近くに着陸し、銃を構えた兵士が僕の周りを取り囲んだ。
でもその時、僕はもうその"目的"を達成していた。
僕の宇宙服のヘルメットの中に黒い物体が漂っているのが見える。
そう僕の目的はあの異星人の宇宙船で“真っ先に”感染した黒いウィルスをこの人類の母星に運ぶことだ。
僕はゆっくりと宇宙服のヘルメットを開けた。同時に僕の身体を複数の銃弾が貫いた。
それからの日々……。
地球から人類が滅亡し黒いウィルスで地表が全て覆われるまでほんの二ヶ月しか掛からなかった。
FIN
黒いウィルス 美玖(みぐ) @migmig
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます