第7話 桃太郎は服を溶かそうとする

 妖怪のうわさを聞くことが多くなったように思っていた。それまでも多少なりとも聞いていたとは思うのだけれど、妖怪という言葉を意識してからはより聞くようになったと思う。

 身近に妖怪が三人いるようなものだし、今更驚く事も無いのだけれど、俺の目の前の光景を見ていると、どんなに強い妖怪にも天敵がいるのだと思い知らされた。ヴァンパイアも妖狐も霊能力者も本来の力を封じられてしまえば、ただの人でしかないのだということがわかったことだけでも俺には大きな収穫だ。


 愛華姉さんが言っていた妖怪の中に相手の力を吸い尽くすモノもいるとの事だったのだけれど、今目の前で三人が闘っているのがその妖怪なのだろう。

 直接攻撃したとしても妖力を吸われてしまい、妖術や霊能力を使ったとしてもそれまで吸収されてしまうみたいだ。彼女たち三人には目の前にいる見た目は可愛いだけの妖怪に手も足も出ないのだ。


 麗奈には猿が抱き着いていて、妖力を奪いながら洋服を脱がそうとしているし。アリスには無数の小鳥が飛びかかって少しずつ妖力と衣服を剥ぎ取ろうしていた。鵜崎さんには俺より大きい犬がのしかかって単純に腰を振っていた。

 犬猿鳥とくれば桃太郎が出てくるのだろうと思って待っているのだけれど、いくら待っても桃太郎は出てこなかった。桃太郎が出てきたところで俺には戦う手段がないのでどうしようもないのだから、ここは桃太郎が出てこなくてよかったと思うことにしよう。鬼が出てきていたら一人で逃げだす覚悟もしておかなければいけない。


 動物に襲われていた三人は妖力をほとんど奪われたようで、得るものが無くなった三匹がどこかへ帰っていくまで辱めを受けていたのだけれど、それでもすぐに立ち上がろうとはせずに横になってぐったりしていたのだった。

 なぜか鵜崎さんだけ衣服は無事だったのだけれど、麗奈とアリスはほぼ下着だけになっていたのだが、靴下を奪わなかったところに敵のこだわりを感じてしまった。

 しかし、三人は動かないまま横になっていて、このままでは何も出来ずに負けておわってしまう事が許されるのかと思っていたのだけれど、三人は勇敢にも三匹の獣にリベンジすることを誓っていたのだ。


 三人は単純に相性が悪いだけだと思っていたのか、それぞれ前回と違う敵と対峙していたのだけれど、相性の問題以前に力を吸収されていては何も出来ないのだろう。今回も鵜崎さん以外はほぼ下着姿になっていた。どうして鵜崎さんだけが襲われ方がマイルドなのだろうと思っていたのだが、もちろん結論は出なかった。

 愛華姉さんに対処法を聞いたのだけれど、近くに潜んでいる飼い主を探して止めさせるのが唯一の攻略法らしい。次に襲われた時の為にも多くの人員を割きたいのだけれど、どこから襲ってくるのかもわからない相手の対処は出来そうもない。

 飼い主を見つけてコントロールを奪ってしまえば何も出来なくなる。問題はどうやって飼い主を探すかなのだけれど、襲われた場所からそう遠くないとは思うのだけれど、見つけても俺が一人でどうこう出来るとは思えないのだが。


 あれから三時間くらい経っていると思うのだけれど、とうとう桃太郎は登場せず、三匹はそれぞれ自分の家がある方へと向かっていってしまった。後を付けようと思ったのだけれど、軽々と山野を越えていく様子を見てしまうと、普通の人間である俺は単純に能力が低いと思うのだ。

 三人はもう一週間くらい負け続けているのだけれど、三人は諦めようとはしなかった。たとえ負けるとわかっている闘いだとしても、三人がそこから引いてしまうと、近所にあった中華料理店も無くなってしまうのかもしれない。

 三匹に遭遇してから一か月くらい経つのだけれど、ここまでくるとわざと負けているのではないかと疑ってしまう。麗奈もアリスも元々白かった肌がより透明感が増したようで、外に出ない生活スタイルも功を奏したのかもしれない。


 三人に替えの服を渡すと、今回も解決の糸口は見つけられなかったらしいのだが、三人の様子を物陰からじっと見ている女の人がいたことに気付いた。話しかけてみようかと思っていると、いつの間にかその女の人は消えていた。


 今回も三人はふしだらな姿になっているのだけれど、今やその姿を完全に受け入れていて、されるがまま無抵抗な様子さえ見受けられた。三人がやられていてなんだけど、俺の力も地味に発動しているらしく、時々やられ声に交じって甘美な叫びも轟いていた。

 本当はこんなところで時間を使いたくないのだけれど、三人が手も足も出ないのなら、攻撃手段を持たない俺は見守る事しか出来ないのだ。


 それから何度目の戦闘かわからないのだけれど、今回は三人を見守らずに、いつか見た女の人がいないか探す事にした。最初は全くわからなかったのだけれど、三人がいよいよ下着姿になると言った時には三人を挟んで俺と正反対の位置にいた。

 話を聞くためにゆっくりと近づいて行ったのだけれど、俺が近付くと女の人はその場にしゃがみ込んでしまった。女の人は息も絶え絶えな感じでこちらを振り向いていた。


「はぁはぁ、どうして、あなたがこちらに来ているの?」

「どうしてって言われても、理由はないけどさ。君こそ三人を見て何してたのかな?」

「それは、どうでもいい事でしょ」

「どうでもいいことかもしれないけど、気になっちゃうんだよね」


 女の人はとても苦しそうにしていて、立っているのもやっとの状態だったと思う。本当に辛そうだったので、手を貸してソファーに横たわらせてあげようと思っていたのだけれど、俺が体に触れた瞬間に蒸気が出ていたのだ。俺が触っても抵抗はしないのだけれど、徐々に力が失われているように見えたのだ。女の人は俺の腕の中で眠ってしまった。


 女の人はほんの数分で目を覚ましたのだけれど、覗きをしていた事実は変わらないし、それがこれからどう作用していくのかも楽しみの一つだ。



「辛そうに見えるけど大丈夫かな?」

「お前らには頼みたくないから気にしないでくれ」


 取り繕う島も無いのだが大事な書類が一向に届く様子もなかった。どうしてだろうと思っていると、彼女は人間でないことが判明してしまった。なぜわかったのかと聞かれたけれど、俺はそれに馬鹿正直に答えるつもりはないのだ。


 昔は苦手だったけれど、今はとにかく何もせずに手を握っておこう。俺と麗奈のどちらが優れているのか勝負していたのだけれど、結果は発表される事も無かったのだ。


 結果は知りたかったけれど、女の子たちが生存すると思っていました。さすがに旅行に行く人はいないと思うだけれど、近場だったらいいんじゃないかしらと思っていたのだけれど、想定とは違って女の人が僕の存在を感じ取ってから少し遅めに振り向いていたと思う。


 最初に会った時のように握手を求めたのだけれど、その時点で女の人はぐったりして座り込んでしまった。

 座り込んでいるだけならいいのだけれど、その女の人を中心とした湖が出来つつあった。ついに我慢できなくなってしまったらしい。少しだけ匂いのする水たまりの上で女の人は恍惚の表情を浮かべているのだけれど、俺が後ろから抱きしめてみると、女の人の体全体が小刻みに痙攣し始めてしまい、少しだけ濁った水たまりが出来てしまった。


 女の人はピクピクと痙攣を繰り返していたのだが、女の人が絶頂を迎えるたびに3匹の動物たちは困ったような表情でただただ見られるだけの地味な仕事になってしまった。


 なんとなくではあるのだが、半開きになっている唇に指をあてたらどうなるのだろうか?

 俺の指が唇に触れると、その指を咥えて美味しそうな表情を浮かべていた。思っているよりも凄い吸引力なのだけれど、来週はもう作り込めないと思うので後は鈴木君にお願いするわね。


 3匹の動物は自分を見守っていてくれる存在がいたからこそ遊べたみたいなんですけど、どうして最後にこんな危険な生物を用意していたのかわからないが、きっと自分には悪影響の撮影が出来なくなっているのを確認する作業に戻っていた。


 俺の目の前にはが今まさに絶頂を迎えようとしている女の子がいるのだけれど、この女の人を見ていると自分もいける気になってしまったのだろう」


 俺はその女の事も手を繋いでくれた女の人のもとに向かったのだけれど、後からがんばって入ってきた人たちも女の人の様子を見ると少し後ずさりしていたように見えましたが、完成を待たずして先に旅立ってし余った。

 俺はじいちゃんの分まで一生懸命に生きることを誓ったのだけれど、手始めになんでもいいから果物を見つけてきてちょうだいね。


 箱を一緒に持ち上げて開ける時に指が触れてしまったのだけれど、一度スイッチが入るとこの女の人も本能には抗えなくなってしまったみたいだ。

 女の人はその場にしゃがみ込むと、僕を思いっきり引き寄せて抱きしめてきた。それだけでもこの女の人は物凄く熱くなっているのだけれど、また大きな水たまりを作り始めてしまった。


 3匹の妖怪に押され気味になっていた3人は女の人が気持ちよくなっている間に弱くなってしまった妖怪を退治してしまった。女の人が強いままだと3匹も強いのか、3匹が強いと女の人も強くなるのかはわからないけれど、女の人が弱くなった時には3匹の妖怪も尋常じゃなく弱くなってしまい、今みたいに女の人の集中力が無くなるとあっさりと劇は出来るくらいになってしまうみたいだ。


 俺はいつも通り何も出来ずにただ黙っているだけなのだけれど、それが妖怪には受けるらしく、俺は何もせずに黙っているだけで3匹の妖怪の倒し方を実践していたようだ。


 そのまま女の人は俺に抱き着いたままキスをしようと近づいてきたのだけれど、まさに唇が触れる瞬間に、女の人の首が宙を舞っていた。

 3人の攻撃が女の人の首を飛ばしたのだと思うけれど、一歩間違えれば俺の首も飛んでいたと思うとぞっとしてしまった。


 愛華姉さんのところに行って報告をすると、今回の魔物は多くの人を殺してきたようで、桃太郎の様な英雄とは違うようだった。

 次はもう少し普通の相手と戦いたいとみんな思っているのだろう。次こそは普通に戦えるように神に祈っておいた。

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卑猥な目に遭っているのは妖怪なので安心して下さい 釧路太郎 @Kushirotaro

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