RPGゲームで例えるとするならば、主人公が旅立つ故郷の村に居る、顔グラフィックさえないような汎用ドットの女の子。
そんな彼女が語るのは、大好きな幼なじみの結婚前夜の独り言。
読み終えた今、ただただ胸が痛いです。
これだけの短編で読み手の胸に深い傷跡を残していく手腕に敬服するばかりです。
淡々と語る彼女が怨みもつらみも言わないのは誰も悪くないから。
悪いのは才能に恵まれなかった自分だと自覚しているから。
つらいです…抱きしめて気の済むまで泣いていいんだよって言ってあげたいです。
これから先、彼女の努力が少しでも報われるような未来が待っていてくれたらと願わずには居られません。
感情が先走ったレビューになってしまいましたが、自分にコンプレックスを抱えている人ほど深く刺さると思います。
努力はおとぎ話のようには報われない。これは苦い恋のおはなし。
タイトルが非常によく出来ています。
これは、勇者の幼馴染で、彼に憧れて憧れて、どうしても傍らに立つ特別な存在になりたかった女の子の物語。引っ込み思案を克服して、明るく元気な少女のフリをして……いじらしくも頑張り屋さんの主人公なのですが。
あまりにも真っすぐで前向きすぎて、遠くばかりを見ちゃったんですね…。
地に足をつけて自分に出来ることからコツコツ積み上げていく。
えてして高みに居るのはそういう方々なのでしょう。
読み終えた時、もう一度タイトルを見直してください。
そうすればこの作品の伝えたかったことがハッキリするでしょう。
人生にとって大切な何かを学びたい方へ、おススメです!