味噌汁の味見をするのに全部飲む必要など無い
@HasumiChouji
味噌汁の味見をするのに全部飲む必要など無い
「先生、何で、選挙速報とかで全部開票が終ってないのに、当確が判るんですか?」
「それはですね、例えば、味噌汁を作るでしょ……」
「ええ、味噌汁って、味の濃い部分が下の方に沈殿しがちなんで、味見をする時には、かき混ぜますよね」
「えっ?」
「先生が言おうとした喩えだと『味見の前に味噌汁をかき混ぜまる』作業は、何に相当するんですか?」
「えっ? えっ? えっ? えっ?」
「例えば、来週行なわれる予定の××県○○市の市長選挙だと、市の北半分は□□党が強くて、南半分は△△党が強いそうですけど、たまたま、北半分の開票作業の方が進み具合が早かったら、開票が全部終る前に出る当確情報って、どこまで信用出来るんですか?」
「あ……あんた、ただの芸人じゃないだろッ⁉」
「ただの芸人ですよ。ただ、弟が先生の学生時代の同じ研究室の後輩だっただけで……」
「き……聞いてねぇぞ……」
「その味噌汁の喩えも、先生の恩師の◇◇先生が、昔、何かのTV番組で使ったやつですよね」
「そ……それが、どうした……」
「先生、学者さんにもオリジナリティって必要なんですよね? 恩師の使ったネタをそのまま流用って、どうなんすか?」
「関係ないだろっ⁉」
「ところで、俺『弟と顔がそっくりだ』って、よく言われるんですけど……」
「お前……まさか、▽▽の兄かっ⁉」
「はい」
「な……なんのつもりだっ⁉ あれは……お前の弟の妄想……」
「俺、何も聞いてないですけど……」
「あ……っ」
「では、俺の弟が先生に相談した卒論のネタをパクって、自分の修士論文のネタにした件については、別の機会にゆっくりと追及させてもらいますので、よろしく」
味噌汁の味見をするのに全部飲む必要など無い @HasumiChouji
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